
<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 初日◇22日◇バルタスロールGC ローワーC(米ニュージャージー州)◇6621ヤード・パー71>
何度も繰り返した「イメージが湧かない」という言葉。渋野日向子は7ボギーのラウンド後、練習場でひたすら打ち込んだ。イメージを取り戻すように懸命に球を打つ。午前スタートの選手がほとんど帰路についても、居残り練習は続いた。
この日の渋野は14回中11ホールでフェアウェイをヒットしたが、パーオンはわずかに10回。グリーンを捉えても3パットが5回と、ちぐはぐなゴルフに終始して悔しさをにじませた。今季米ツアーでは予選落ちなしだが、一時帰国し挑んだ日本ツアー2戦ではともに予選落ち。そして今大会もその危機に陥っている。
「やることが多い」と迷いのなかにいるいま、「冷静に考えます」と言い残して練習場に直行。球を打ち続けた。修正点を探るように乾いた音を立てるアイアンショットは、言うほど悪くないようにも見える。
朝一番のホールはこの日最高難度のホール。437ヤードのパー4で、平均スコアは「4.494」だった。渋野がスタートした午前8時半は、冷たい雨が降り風も吹き、体感気温がグッと下がった時間帯。ドライバーのティショットは左ラフに捕まったが、セカンドをうまく花道まで運ぶと、3打目のアプローチをピンそばに寄せてパーを拾った。安定ゴルフでスタートしたはずだったが、続く2番でいきなりスコアを落とす。
打ち上げのパー4ではティショットがまたもラフへ。今度は右だが、そこからうまくグリーンに乗せるも3パットのボギー。続く3番パー4ではまたしてもティショットが右ラフへ。セカンドはグリーン左手前のバンカーにつかまり、寄せきれずにボギー。いきなり2つ落としたが、その後はしぶといパーセーブも見せた。ところがバーディを奪うきっかけをつかめないうちに、“イメージが湧かない”ショットはパッティングにも影響。後半は4連続ボギーで一気に沈んでしまった。
「結果的にいいショットが打ててもっていう感じのが多かったりとか、やっぱりイメージがなかなか湧いてないので、すごく難しいなあと思いながらやってました」。新シーズン前にはスイングを変え、今月からは新たなグリップにも挑戦している。「自分の納得のいくショットができるように」と行った特打。イメージを取り戻すための2日目のプレーは、ここから続くメジャーシーズンに光を当てるものになっていく。(文・高桑均)