
<リゾートトラスト レディス 初日◇25日◇グランディ浜名湖ゴルフクラブ(静岡県)◇6500ヤード・パー72>
今週は2019年以来の開催となるグランディ浜名湖GCが舞台。主催するリゾートトラストグループの創立50周年記念という特別な大会となるが、そこでの勝負はどういう展開になるのか? 青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏が、今週もその現場から占う。
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このコースを語るうえで外せない要素が風。フラットで遮るものが少ないこともあり、浜名湖、さらにそこからつながる太平洋からの風が選手を苦しめることになる。大西氏も「4日間風が吹く予報ですし、ハウスキャディを20年やってるという方に聞いても常に吹くと言っていました。穏やかな日はない」と警戒する部分だ。
さらに続ける。「遮るものがないから直に来て、風が重い。右からの風だと思ってそれに乗せると、思っている以上に流される…ということも多い。前回(19年)優勝した原英莉花選手も、低い球を打ったりして優勝していました。高い球ではなくライン出しのショットを打ったり、右からの風に対して逆玉を打ったりなど対応力が重要になります」。優勝するための条件を「風対策がどれだけできるか選手権」と表現するほど、ここを飼いならさないことには勝利の道は開けない。
そしてフェアウェイがやわらかいため、ランにはほとんど期待できない状況というのも付け加える。高低差の低い位置に落ちると「ランは0ヤードです」と言うほどだ。総距離も6500ヤードと短くはないうえにランが出ない状況。そこに強風とくれば、頭を使い続ける18ホールになるのは想像に難くない。
これを踏まえて大西氏が活躍を予想するのが姉・明愛、妹・千怜の岩井ツインズ。2週前に姉妹プレーオフを繰り広げたのは記憶に新しいが、明愛は2戦連続2位、千怜も優勝、12位と状態を高い位置でキープしている。ただ、当然ながらその成績だけが理由ではない。
「ミート率がいいですし、高低、ドロー・フェードといろいろな球が打てる。2人は『こういう球を打ちたいから、こういうスイングをする』ということができるんです。例えば2週前に見せた直ドラも、『直ドラをしたいから、こういうスイングをしよう』という結果。球の操り方がうまいですし、もってこいのコースですね」と、大西氏が考える条件に合致する。
そしてもう1人挙げたのが、連覇がかかる小祝さくら。「ライン出しのショットを重点的に練習してますし、高低の打ち分けもできます。リゾートトラストさんが大会をやるコースはだいたい風が強いのですが、それを利用して前回優勝しています」。小祝自身も、「連覇はしたことがないのでやりたいです」とおっとりとした口調で気合をみなぎらせていた。“風と友達”になるのは一体? トッププロの技の競演に注目したい。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。