
<HSBC女子世界選手権 事前情報◇1日◇セントーサGCタンジョンC(シンガポール)◇6774ヤード・パー72>
2022年「パナソニックオープンレディース」優勝の権利で、西郷真央は今季初戦を海外で迎える。昨年優勝した同週の日本ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」を欠場することは「苦渋の決断」ではあったが、「将来的に海外で戦いたいという思いが強い」ことだけでなく、「ダイキンさんには温かく見送ってくださったので、より頑張ろうと思いました」というエールに背中を押され、シンガポールに乗り込んだ。
昨季は開幕戦から10戦5勝を飾り、勢いよくシーズンを走り出した。だが、初の海外試合となった6月の「全米女子オープン」で、「飛距離や引き出しとか、プレーしてみて足りない部分を多く感じた」と世界との差をまのあたりにしたことをきっかけに、スイング改造に取り組むようになっていたという。
「シーズン中も試合のなかでできる範囲で変えようとして、最初はうまくいったから、大胆にやろうというのを続けていたら、そこから精度がなくなってきてしまった」。快走していた序盤から、秋口にはドライバーショットに苦しみ、最終戦では恐怖心を吐露。後味悪いままシーズンが終わってしまった。
それでも、そのなかで得た気づきをもとに、オフには本格的なスイング修正に着手した。求める完成形に向けて、自分がどのような意識づけをすれば、体がその通りに動いてくれるのか。師匠・ジャンボ尾崎のもとでの練習は試行錯誤の日々だったが、つい2週間ほど前に光は見えてきた。
そして迎える今季初戦。ジャンボ尾崎からは「(動きが)窮屈に感じる部分があるかもしれないけど、すごくいい動きができている。継続して頑張ってこい」との言葉をもらった。「試合になってどういう影響が出るのかまだわからないけど、やってきていること自体は間違っていないと思う」と、装いやクラブセッティングも新たに、新たなシーズンへと入る。
「夏場の海外メジャーからそれ以降にむけて調子を上げられるようにしたい」というのが今シーズンの青写真。今週はその「一歩目」となる。「この舞台に来られたのは光栄なことなので、まずは楽しんでゴルフをすること、そしてオフのあいだに積み重ねてきたものを継続していけるように頑張りたいです」。長いスパンで先を見据え、今大会へと意気込んだ。(文・笠井あかり)