
渋野日向子、古江彩佳らが増えてますます盛り上がっている米国女子ツアー。さらに勝みなみ、西村優菜らも参戦が決まり、来季以降の日本勢の動向にも非常に注目だが、なかなか試合以外や海外勢の面白ろ話まで伝えるのはなかなか難しい部分も…。そこでツアーを長年取材している南しずか氏が“気になるネタ”をピックアップ。これを見れば米女子ツアー通になれるかも!
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2013年、モリヤ・ジュタヌガーン(タイ)はルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)を獲った。「あれから10年経ったんですか!?ルーキーの時にベテラン選手を見て、『私はそんなに長く出来る自信ないなあ』と思っていたんですけど。時が経つのは早いですね」5月中旬、モリヤは練習場で心境を語ってくれた。
正確なショットとパットがモリヤの持ち味だ。「観客にとって、私のゴルフはつまんないかも」と自虐的に笑う。「妹の方が飛距離でるし、ラフとかあちこちに飛ぶし、色々起こるから見てて面白いと思います。あ、でも、真似はしたくないかな 笑」
モリヤの妹は1歳年下のアリヤ。仲良し姉妹だが、勝利数には差がある。モリヤは米ツアー通算2勝。対して、妹のアリヤは米ツアー通算12勝、16年と18年には最優秀選手賞も受賞。そこで、アリヤが世界ランク1位に上り詰めた時、アリヤにとって姉はどんな存在か尋ねたことがある。「努力家のお姉ちゃんを尊敬しています。お姉ちゃんは初優勝まで5年かかりました。私だったら(勝つことを)諦めていたかもしれませんが、お姉ちゃんは自分自身を信じ、努力し続けて、すごいなあと。『アリヤの方が良いゴルファーだよね』って言われたことあるけど、ジュタヌガーン家では誰もそんなふうに思ってないですよ。」
モリヤは、オープンウィーク(試合がない週)でも1日中、練習場にいることがあるという。「いやいや、ずっと練習してるわけじゃないですよ。ゴルフ場のカウチに座ってノンビリしてたり、誰かとおしゃべりしてることもあります」努力家と聞いてるため、あんまり練習シマセンと謙遜されても、にわかには信じがたい。学生時代の中間テストでワタシ全然勉強してないしーと言いながら高得点を取るクラスメートを思い出してしまった。
来季のシード権内80人のうち僅か21選手が、米ツアー在籍10年以上(9月5日時点)。もちろんモリヤも含む。「ずーーーっとゴルフしてるせいで『たまには他のことやりたーい!』と思うことあります。でも、なんだかんだ言って、アスリートを職業に選んでるくらいなので、競い合うことが好きなんだと思います」
ひたすら地道にコツコツと。長年、第一線で活躍し続けているのは理由がある。(取材・文:南しずか)