【エルサレム時事】イスラエルで行われた総選挙(国会定数120)では、アラブ系の野党2党が大きく躍進した。与党、ユダヤ系野党の両陣営とも過半数に及ばず、今後の連立交渉ではアラブ系の動向がカギを握る。
選管発表によると、複数政党の連合体「共同リスト」が11議席、イスラム主義のラアムが8議席を獲得した。いずれも支持基盤は人口の約2割を占めるアラブ系市民だ。
1948年のイスラエル建国に伴い、多くのアラブ系住民が故郷を追われて難民となったものの、一部はイスラエル領内にとどまった。ユダヤ系市民と共存しつつも疎外感を抱え、投票を棄権する傾向にあったが、今回は2022年の前回選挙からアラブ系政党の得票数が約64%増加した。
背景には、与党側の極右政党がアラブ系市民への締め付けを強めたことがあるようだ。エルサレム近郊のアラブ系の町アブゴシュのハムザさん(50)は、ネタニヤフ政権下で「アラブ人はテロリストという偏見が広まった」と指摘。「差別主義を弱めるため」にアラブ系政党に一票を投じたと説明した。
アラブ系2党は、ネタニヤフ首相退陣のための政権樹立を目指し、ユダヤ系野党陣営との協力に積極姿勢を示す。ヘブライ大の調査では、同陣営支持者の61%が、現実主義的とされるラアムとの政権樹立を受け入れると回答した。
ただ、ユダヤ系野党にはアラブ系政党への拒否感がある上、ラアムと21年に組んだ政権は約1年で崩壊した。閣外支援もあり得るが、不安定な基盤の政権では政治的混乱を助長しかねない。ネタニヤフ氏は、アラブ系の「選挙不正」を主張。正統性を否定することで連携を難しくさせている。
〔写真説明〕イスラエルのアラブ系政党の連合体「共同リスト」の支持者ら=10月27日、北部ナザレ(EPA時事)