『ACE COMBAT 8(エースコンバット8)』で登場したターパン級やVガンダムの「アドラステア」などのように、地上を更地にしながら進撃する兵器というのはあるのでしょうか。
エスコン8以前に記憶に残る陸上戦艦といえば?
2026年10月2日に発売された『ACE COMBAT 8(エースコンバット8)』。発売から約1か月が経過しましたが、現在も話題の尽きない同作で、最初期に注目を集めたものといえば、間違いなく「陸上戦艦」のターパン級です。
同シリーズでは、一部の例外を除き、現実に存在するジェット戦闘機が登場する一方、架空の世界「ストレンジリアル」を舞台に物語が展開されます。
これまでのシリーズでも、ストーリーを進めるうえで、突飛な巨大兵器が登場することは珍しくありませんでした。しかし、全長468m、全幅76m、地上高62mという巨体でありながら、複数の履帯(いわゆるキャタピラ)を備え、文字どおり市街地を「蹂躙」しながら走る戦艦は、シリーズでも類を見ないほど強烈なインパクトをもたらしました。発売前のPVが公開された段階から、ネット上では「デスモガミ」という非公式の愛称が付けられたほどです。
なお、発売後も、3連装レールガンを備えた砲塔3門による長距離攻撃能力や、近接してきたミサイルや航空機を追い払うスウォーム(群れ)ドローンとその艦内の3Dプリンターで無尽蔵に製造するなど、その異様さと耐久力の高さに驚くプレイヤーが続出。多くのプレイヤーの印象に残る、規格外の兵器となっています。
こうした陸上戦艦というコンセプト自体は、実は創作物において、それほど目新しいものではありません。例えば、ガンダムシリーズでは、いわゆるファーストガンダムこと『機動戦士ガンダム』から「ダブデ」や「ビッグトレー」などが登場しており、その後のシリーズでもたびたび姿を現してきました。
しかし、「巨大な車体で交戦国のインフラを破壊しながら進む陸上戦艦」という点でターパン級にかなり近く、ガンダムシリーズの中でも強烈な印象を残している兵器といえば、やはりバイク戦艦こと「アドラステア」以外にありません。
アドラステアは、巨大な2輪タイヤを備えた宇宙戦艦ですが、ザンスカール帝国の提唱する「地球クリーン作戦」の名のもと、地上では巨大なタイヤでインフラを市民もろとも破壊し、更地にしていくという、強烈な攻撃性と恐怖感を放つ艦でした。
作中では、発案者であるドゥカー・イクの「地球をバイク乗りの楽園(聖地)にする」という歪んだ夢から生まれた兵器として描かれています。一方、『エースコンバット8』で陸上戦艦を運用するソトア共和国も、砂漠化が進む母国を離れ、FCU(ユージア連邦)を新たな遊牧地(聖地)として侵攻・支配しようとする歪んだ思想のもと、侵攻を進めており、両者には共通する部分が少なくありません。
実は現実でもある建物などを破壊しながら進む兵器
では、現実にも、敵対勢力に物理的な大きなダメージを与えるとともに、心理的にも大きな恐怖を植え付ける兵器は存在するのでしょうか。実は、規模こそ小さいものの、こうした兵器と共通する特徴を持つ車両があります。イスラエル国防軍が使用している「D9R装甲ブルドーザー」です。
この車両は、全長8.8m、全幅4.3m、全高4m、重量65tと、ほぼ戦車サイズです。416馬力のエンジンを搭載したキャタピラー製ブルドーザー「D9R」をベースに改造されています。
各部には軍用としてさまざまな改良が施されています。例えば、運転席には防弾ガラスが採用されているほか、対戦車ロケット弾や対戦車ミサイルなどによる攻撃への対策として、金網状のスラットアーマーを装備。さらに、計15tの追加装甲を施し、土などを運ぶブレードも装甲化しています。
同軍がこの車両を頻繁に使用する理由は、その突破力にあります。イスラエル軍は戦闘時に同車を盾代わりに使用します。その防御力は高く、銃弾はもちろん、RPGをはじめとする対戦車ロケット弾などの攻撃にも耐えたといわれています。地雷やIED(即席爆発装置)も、地面ごと処理してしまうとされ、ギネス世界記録では「最も装甲の厚いブルドーザー」として認定されています。また、ドローンによる攻撃に対しても一定の防御力を有するといわれており、正規軍が相手ならともかく、非正規の武装組織が同車両を撃退するのは非常に困難です。
防御面だけでなく、火力も充実しています。車載機関銃のほか、てき弾発射器も備えており、歩兵や簡易的な装甲車程度であれば撃退できるといわれています。また、発煙弾を使って自身の姿を隠すことも可能です。しかし、それ以上に物理的にも心理的にも大きな脅威となるのが、大型のドーザーブレードです。
ブレードと車重を利用して建物や陣地を更地にしながら進むその姿は、敵にとって恐怖の対象となっています。ある意味では、イスラエル軍の主力戦車「メルカバ」よりも恐れられているともいわれます。
実際、2002年にパレスチナ自治区で起きたジェニンの戦いでは、IEDなどのブービートラップが仕掛けられた家屋を、D9R装甲ブルドーザーが建物ごと破壊しました。これによってパレスチナ側の戦闘員が戦意を喪失し、降伏に追い込まれたという話もあります。その運用思想には、架空の兵器であるターパン級や「アドラステア」と共通するものがあります。
ただし、住民が暮らしていた家屋やインフラを破壊する車両であるため、武装勢力に参加している現地住民の怒りの矛先が向かいやすい存在でもあります。いくら耐久力が高いとはいえ、もともとは建設機械をベースにした車両であり、集中攻撃を受ければ撃破される可能性も高まります。そのためか、イスラエル軍では遠隔操作式の無人タイプの開発も進められています。