わずか20分で致死量に!? 車での仮眠に潜む罠 恐ろしい「一酸化炭素中毒」見落としがちな3つの条件

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行楽シーズン、ドライブ中の仮眠で気を付けたいのが車内の「一酸化炭素中毒」です。JAFのテストで見えた排ガスの通り道や、「雪がなくても」死亡事故につながるマフラーの整備不良など、見落としがちな危険性を解説します。

排ガスはどこから入る? 「窓開け」も無意味なJAFの恐怖テスト

 行楽の秋、長距離ドライブの途中で「ちょっと車内で仮眠を……」と、エンジンをかけたまま眠りについてしまうことはないでしょうか。しかし、ここで気を付けたいのが「一酸化炭素中毒」です。毎年ニュースになりますが、「雪の降る地域だけの話でしょ?」と油断していると、思わぬ落とし穴にはまるかもしれません。

 そもそも、クルマの排ガスはどこから車内へ侵入してくるのでしょうか。排気口(マフラー)がふさがれた際の恐ろしさがよくわかる、JAF(日本自動車連盟)のユーザーテストがあります。

 クルマをボンネットの上まで雪で覆い、空調を「外気導入」にしてエンジンをかけたところ……なんとわずか16分後に車内の一酸化炭素濃度が400ppmまで上昇。さらに6分後には、ガス検知器の測定上限である1000ppm(約3時間で死に至る危険な濃度)に達してしまったのです。

 実験で排ガスの流れを確かめると、車体の下にたまった排ガスが、フロントガラス下部の外気取り入れ口を伝って車内へ吸い込まれていきました。では空調を「内気循環」にすれば安全かというとそうではなく、車体のわずかな隙間から侵入してくる危険性があるといいます。

「窓を少し開けておけば大丈夫」というのも危険な思い込みです。除雪せずに運転席の窓を5cmほど開けたテストでは、風が止んだタイミングで濃度が急上昇し、約40分後には400ppm、直後に800ppm台に達しました。

 つまり、マフラー周辺で排ガスの逃げ場がなくなると、いとも簡単に車内へ回り込んでしまうということです。しかし、排ガスの逃げ場をなくすのは「雪」だけとは限りません。

「雪がなくても」死に至る!? 統計が示す意外な原因トップとは

 日産の取扱説明書でも、雪が積もった場所だけでなく「壁などに囲まれた換気の悪い場所」や「他車の排気口が近くにあるとき」はエンジンをかけたままにしないよう注意を促しており、仮眠時のエンジン停止を強く求めています。

 そしてもうひとつ、絶対に見落としてはいけないのが「クルマ自身の状態」です。

 滋賀医科大学の法医学部門による研究(2018年までの国内報告例を検討)では、非常にショッキングな事実が判明しています。自動車内での不慮の一酸化炭素中毒による死亡例(14人)の原因を調べたところ、トップは「雪による排気管の閉塞(21.4%)」ではなく、なんと「車両の整備不良(42.9%)」だったのです。

 なお、命を取り留めた生存例(25人)では雪が原因の割合が9割を超えますが、死亡例に限ると整備不良が大きく上回ります。

 実際、2026年2月には香川県高松市のコインパーキングに止まっていたクルマの中で、男性2人が亡くなる痛ましい事故が起きています。警察は死因を一酸化炭素中毒と発表。報道によると、車体の下でマフラーにつながる排気管が外れており、そこから漏れた排ガスが車内に充満したとみられています。

「縁石に下回りを軽くぶつけたけど、走れるからいいや」
「コインパーキングの壁ギリギリに後ろを寄せて、エンジンをかけたまま休憩」

 こうした何気ない行動や車両の放置が、命取りになる恐れがあるのです。一酸化炭素は無色無臭で、充満しても人間は気付くことができません。

 車内で仮眠するときは必ずエンジンを止める。排気音がいつもと違うときや、下回りをぶつけて損傷が疑われるときは迷わず点検を受ける。雪のない季節でも「自分は大丈夫」という油断を捨てることこそが、身を守る最大の備えになります。