再審見直し、実効性に懸念残す=検察・法務省の抵抗強く

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 再審制度を見直す刑事訴訟法改正案の本格修正は、与党が少数の参院でも実現しなかった。全面的な証拠開示は担保されず、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)の余地が残るなど、冤罪(えんざい)被害者の早期救済に向けた実効性に懸念を残した。審議は抜本改正に強く抵抗する検察・法務省の「筋書き」通りに運び、改正を主導した与野党議員からは落胆の声が漏れた。
 再審制度の見直しは、「袴田事件」の再審公判をきっかけに2024年に発足した超党派の議員連盟がけん引。抗告の全面禁止や広範な証拠開示を打ち出した。これに対し、法務省は法制審議会(法相の諮問機関)の議論を急きょ開始。抗告の維持など検察側の意向を反映した改正案の原案をまとめた。
 抗告を巡り、自民党の事前審査で、稲田朋美元防衛相ら議連メンバーが禁止を迫って激しく抵抗。法務省は抗告を「原則禁止」とする修正を渋々受け入れた。ただ、検察が持つ証拠リストの再審請求者側への開示は認められず、報道機関への提供など証拠の「目的外使用」を禁じた規定は残った。
 5月に始まった国会審議では、こうした課題が論点となった。中道改革連合や国民民主党といった野党だけでなく、自民の森雅子元法相らも「検察と再審請求者には証拠収集能力の格差がある」として、証拠の全面開示を主張。法務省はプライバシー侵害など「さまざまな弊害が生じる」(平口洋法相)と、最後まで消極的な姿勢を変えなかった。高市早苗首相が指導力を発揮する場面もなかった。
 参院審議には本格修正への期待もあった。だが、5年ごとの見直し対象に目的外使用やリスト開示を含める与党の修正案に、参政党が賛同。参院でも過半数が確保され、立民中堅は「参政が賛成に回った段階で修正の目はなかった」と漏らした。
 抗告の例外規定の乱用や不十分な証拠開示による冤罪救済の遅れ、目的外使用禁止による弁護活動や報道の萎縮といった懸念は残った。議連の柴山昌彦会長(自民)は取材に「半歩前進だが、正直、物足りなさは残る」と語った。
 福井市の女子中学生殺害事件では、再審無罪の決め手となった証拠を検事が把握しながら、開示していなかった。取り調べでの暴言や内部での性暴力事件など検察の不祥事が相次ぐ中、再審制度見直しの実効性が引き続き問われる。 
〔写真説明〕高市早苗首相が出席して行われた参院法務委員会=16日午後、国会内
〔写真説明〕参院法務委員会で答弁する平口洋法相=16日午前、国会内