第503話 上下水道管の老朽化、大地震への備えは?人口減少・人件費上昇が重荷に

下水道管老朽化 人件費が重荷に

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内にある喫茶店でコーヒーを飲みながら投資談義を行っています。


T:6月は大きな地震が相次ぎました。気象庁によれば山梨県での震度6クラスの揺れを観測したのは102年ぶりとのことです。日本のどの場所でも地震への備えが重要であることを改めて実感しました。

神様:地震による被害の報告も出ています。余震にも十分な注意が必要です。

T:南海トラフ地震への備えもあり、国土強靭化を一刻も早く進める必要がありますね。

神様:政府は2025年6月、第一次国土強靱化実施中期計画を閣議決定しました。これは令和8年度から令和12年度までの5年間を対象期間とし、防災・減災、国土強靱化の取組みを推進していくものです。事業規模は5年間で凡そ20兆円強程度とされています。注目すべきはライフラインの強靱化でしょう。10.6兆円の予算が使われる予定です。

T:ライフラインと言いますと、道路や上下水道などの老朽化が激しいですよね。

神様:近年、全国で水道管に関する事故が多く報告されています。その多くが漏水などですが、稀に破裂など大きな事故も起きています。

T:一度事故が発生してしまうと多くの時間がかかります。生活に必要なものだからこそ、近年の事故は気になりますね。

神様:上下水道管などのインフラ設備のことを管路と言いますが、管路の法定耐用年数は水道管が40年、下水道管が50年です。事故の中には耐用年数に達していなかったものもあり、一概に耐用年数未満なので安心とは言えないのが現状です。

T:そうなのですか?そうであれば、ますます全国の下水道管の更新を急がなければなりませんね。

神様:管路など日本全国のインフラの多くが高度成長期以降に作られたものです。経年劣化は著しく、管路が法定耐用年数を超えている割合を示す管路経年化率は上昇を続けています。国土交通省の試算では、このままでは2042年度に69%の管路が法定耐用年数を超えると予測されています。

T:そんな年に大地震が発生したら、どのような被害が発生するか想像に難くないですね。

神様:一方で、老朽化した管路の更新は容易ではありません。人口減少社会である現在、昔の日本のように公共事業を勢いよく行うことはできません。管路更新の財源は使用料で賄うことになりますが、人口の減少は大きなネックです。また、更新にかかる人件費の上昇も重荷です。

T:厳しい環境下にありますが、政府はどのように考えているのでしょうか?

神様:先に述べました第一次国土強靱化実施中期計画では、上下水道管については下水道の健全性の確保を優先します。2030年までに下水道管の健全性の確保率100%、2041年までに上水道管の更新率100%を目標として掲げています。大地震に備え、耐震化の推進も図られることとなります。

T:ここに10.6兆円の大規模予算を使っていくわけですね。官民が協力する取組みを期待したいですね。

神様:これからの公共インフラにとって大事な考え方となるのが「予防保全型メンテナンス」への転換です。事後保全から予防保全へ。何か事故や故障が発生してから対応するのではなく、発生を事前に防ぐメンテナンスが重要であり、省力化・コスト削減を実現することも可能です。また、地域が今後どのような形になっていくかを考慮し、インフラの集約や再編も必要となるでしょう。

T:大きな事故が発生する前に、必要なインフラを必要なときに必要なだけメンテナンスする。そして、大規模災害時にも負けない強靱なインフラを構築する。日本の未来の街、地域のあり方が見えるようです。まずは上下水道管をしっかりと更新していくところからですね。

(この項終わり。次回7/15掲載予定)

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