京王電鉄は2013年から、笹塚~仙川間の連続立体交差事業に着手しています。2026年1月にこの事業を空撮しました。
道路も神社も移設
京王電鉄京王線の笹塚~仙川間約7.2kmで連続立体交差事業が進んでいます。この区間は、笹塚駅と八幡山駅付近以外は複線の地上区間ですが、踏切の交通渋滞が沿線の課題です。高架化により25か所ある踏切が解消され、都市計画道路も7か所で整備し、京王線を挟んで南北を結ぶ道路交通の利便性を高めます。
事業は2013(平成25)年に始まりました。高架構造の笹塚駅西側から高架橋を接続する形で計画され、第1~第8工区に分けて工事が進行中です。基本的な高架橋構築は、下り線を高架化したのちに上り線という流れとなり、用地買収の完了した箇所から高架工事が開始されています。
第1工区は笹塚駅西側から代田橋駅西側の井ノ頭通り踏切までです。既存の高架は環七通り付近で終了しており、盛土となっている箇所を崩して高架を接続します。相対式構造の代田橋駅は、北側の隣接道路を移設後に上り線を北へ移動し「仮上り線」へ。既存上りホーム撤去後に下り線を北へ移動し「仮下り線」となります。
代田橋駅から井ノ頭通り踏切までは、既存線路の北に大原稲荷神社、南に井ノ頭通りが隣接する狭隘地です。これらの隣接地は仮上り線用地確保のため更地となり、社殿は曳家によって北側へ移設されました。
第2工区は明大前駅と東西の線路です。明大前駅は堀割の井の頭線と直交する構造ですが、京王線のホームは長年特急停車駅ながら相対式、井の頭線のホームは渋谷方で乗り換える駅構造のため、慢性的な動線詰まりと渋谷方車両の混雑が懸念となっています。
そこで抜本的に構造を変更し、京王線は2面4線となって通過待避が可能となり、ダイヤに余裕を持たせます。井の頭線は第2工区工事とは別事業となりますが、ホームを南側の渋谷方へ移設します。ホーム位置は上下線で多少ずれる形となり、移設時期は京王線上り線の高架化と同時期を想定しています。
京王線は、まず南側に下り待避線高架橋を構築します。旧下りホームを撤去後に下り線高架橋を構築して、一旦上り線を移設します。旧上りホームを撤去後、上り待避線高架橋を構築。順番に組み立てるようにして2面4線の高架ホームが誕生します。明大前駅の高架化後は、南北を結ぶ補助第154号道路を整備する予定で、駅直下にバス乗り場も設置予定です。
下高井戸の駅舎も解体へ
第3工区は、明大前西側から下高井戸駅を挟み、桜上水駅構内留置線手前までの工区となります。下高井戸駅は曲線状の相対式ホームがあり、南側に東急世田谷線が接続します。世田谷線は軌道線の路面電車であり、低床ホームが京王線下りホームに隣接する構造です。
京王線の駅は上下線にそれぞれに地上改札口がある少々不便な構造でしたが、1993(平成5)年に橋上駅舎が供用開始されました。その橋上駅舎も今後解体されて、仮改札口が上下線に設置されます。南北の道路を移設後、上下線ホームは仮ホーム化となり、既存ホームを覆いながら直上に高架ホームを構築します。駅前には下高井戸市場がありましたが、駅前広場などを整備するために解体されました。
第4工区は2面4線構造の桜上水駅周辺です。橋上駅舎を解体後に高架化。2面4線構造は変わらず、さらに車庫線も追加されます。下り待避線高架橋は橋上駅舎と隣接し、次は駅舎の一部を解体して規模を縮小させた後、上下本線高架橋を構築。残りの駅舎を解体して、上り待避ホームと車庫線高架橋を構築します。
第5工区は上北沢駅周辺です。上北沢駅は島式ホームの1面2線構造で、高架化後も同じ構造です。また、関連事業として北側の甲州街道から南へと貫く都市計画道路補助215号の整備も予定されています。
西側の上北沢~八幡山間は、他の駅間とは少々事情が異なります。八幡山駅は環八通りをオーバークロスするため、すでに高架構造です。駅間の一部は高架取り付け部であり、既存高架橋と新設高架橋を接続するため、取り付け部の高架橋を撤去して、既存高架橋に隣接して下り線高架橋を新設します。次に上り線高架橋を新設。旧上り既存高架橋を撤去して完了となります。
第6工区は環八通りの西側から芦花公園駅の西側までで、高架構造の八幡山駅は既存施設を使用する予定です。芦花公園駅は橋上駅舎の相対式構造で、駅舎を解体して高架化となり、先に南北を結ぶ地下通路を構築します。仮駅舎は地下通路に沿って南北に設けてから、橋上駅舎を解体します。これで高架化への準備が整い、下り線高架橋、上り線高架橋と構築していきます。高架ホームは地上と同じ相対式となります。
第7工区は、千歳烏山駅周辺です。芦花公園~千歳烏山間の線路南側は用地買収が進行しており、下り線高架橋が姿を見せてきています。千歳烏山駅は高架化の際は待避ホームのある2面4線に変わります。そのため、駅南側を広く用地買収して用地を確保する必要があり、基礎工事が終了した箇所から下り線高架橋がお目見えしています。
最後は第8工区です。千歳烏山~仙川間ですが、今まで紹介してきた高架化の方法だけでなく、仮線工事を行った後に高架化する箇所もあります。仮線工事では地上線路を覆うように支柱と工事桁を構築し、工事桁に仮線を設置します。その後に下り線高架橋を隣接して構築し、下り線は切り替え、上り線は仮線へと切り替えます。
この時点で仮線は仮設高架橋となっており、工区内の千歳烏山6号踏切は撤去でき、今事業の中ではいち早く踏切が解消されます。この仮線工事はストラム工法と呼びます。
京王線の連続立体交差事業は仙川の西側で終了し、現在線は堀割となって仙川駅へと延びていきます。2026年4月の調布市などの発表により、仙川駅~国領駅手前付近までの約2.1kmも、連続立体交差事業が推進されることになりました。5か所の踏切を撤去することで、慢性的な交通渋滞を解消し、線路で阻まれている南北間の利便性が向上されます。今後は、この区間の光景も激変していくことでしょう。