米ホワイトハウス、肖像画が映すトランプ政治=異端児から俳優、政策モデルに―反エリート・強い指導者演出

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 【ワシントン時事】米ホワイトハウスの大統領執務室には、初代ジョージ・ワシントン(在任1789~97年)をはじめ、20点を超える歴代大統領らの肖像画が壁を彩る。このうち、トランプ大統領の執務机を見下ろす場所に位置するのが、第5代ジェームズ・モンロー(1817~25年)、第7代アンドルー・ジャクソン(1829~37年)、第40代ロナルド・レーガン(1981~89年)の3人だ。いずれもトランプ氏の政治・外交姿勢に大きな影響を与えている。
 ◇人民の大統領
 「ジャクソンの勝利はエスタブリッシュメント(既成勢力)を地震のように揺さぶった」。トランプ氏は1期目就任直後の2017年3月、南部テネシー州にあるジャクソンの邸宅を訪れ、「人民の大統領」とたたえた。ジャクソンの肖像画は1期目でも執務室に掲げられていた。
 貧しい家庭に生まれたジャクソンは、米英戦争(1812~15年)で軍功を挙げて国民的英雄となった。「反エリート」の姿勢で幅広く人気を集め、2度目の挑戦で大統領の座を射止める。大衆民主主義が根付いたこの時代は「ジャクソニアン・デモクラシー」とも呼ばれる。
 農民や労働者を重視したジャクソンは、エリート層の利益を代表しているとして、中央銀行の役割を担っていた第二合衆国銀行を廃止した。歴史家でテキサス大教授のヘンリー・ブランズ氏は「エリート層より一般大衆の意思を重んじたという意味でポピュリストだった。トランプ氏も同じ姿勢を標ぼうしている」と語る。
 ◇ドンロー主義
 「われわれはモンロー主義を忘れていた。西半球における米国の優位性が再び揺らぐことはない」。トランプ氏は今年1月、南米ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束後、記者会見でこう胸を張った。
 モンロー主義は、モンローが1823年に打ち出した外交原則。当初は、西半球に対する欧州列強の干渉を拒むことを柱としていた。その後、第26代セオドア・ルーズベルト(1901~09年)が独自の解釈を加え、中米・カリブ海諸国への積極的な軍事介入を正当化した。
 トランプ氏は不法移民や麻薬流入の阻止を名目に、モンロー主義に自身の名前の「ドナルド」を重ねた「ドンロー主義」を引っさげ、圧倒的な経済・軍事力を背景に中南米諸国への介入を強める。パナマ運河への影響力拡大やデンマーク領グリーンランド獲得への野心もドンロー主義の表れとされている。
 ◇力による平和
 執務室でひときわ目を引くのがレーガンの肖像画だ。トランプ氏を支持する運動の代名詞となった「MAGA(マガ=米国を再び偉大に)」や、強大な軍事力を通じた「力による平和」の理念を掲げたのがレーガンだった。
 旧ソ連と対峙(たいじ)し、冷戦終結への道筋を付けて米国の再生と復活を主導したレーガンに自身を重ねることで、トランプ氏は「強い指導者像」を印象付けようとしている。伝統的な価値観を重視する宗教右派や保守層といった支持基盤が共通していることも、レーガンを称賛する理由の一つとみられる。
 一方で、時に政治スタンスの違いが物議を醸すこともある。レーガンは1987年、「関税は長期的には労働者や消費者に悪影響を及ぼす」と述べ、保護主義に警鐘を鳴らしていた。昨年10月、この発言を引用したカナダ・オンタリオ州政府の広告が放映されると、トランプ氏は「関税は国家安全保障や米経済にとって極めて重要だ」と反発し、自らの看板政策を擁護した。 
〔写真説明〕米大統領執務室に掛けられたジェームズ・モンロー(上部中央)、アンドルー・ジャクソン(上部右)、ロナルド・レーガン(左下)の肖像画=3月24日(ホワイトハウス提供・時事)
〔写真説明〕第7代米大統領アンドルー・ジャクソン(米国立肖像画美術館提供・時事)
〔写真説明〕第5代米大統領ジェームズ・モンロー(米国立肖像画美術館提供・時事)