第502話 AI時代の主役はNAND型フラッシュメモリ メモリ価格高騰はいつまで続く?

AI時代の主役 NAND型メモリとは

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、下町の甘味処で抹茶を飲みながら投資談義を行っています。


神様:今日は半導体の話題です。AIの発展に伴い半導体市場が急拡大しています。経済産業省によると、2025年の世界の半導体市場は7,722億ドルでした。主要ハイパースケーラーの設備投資額は4,040億ドルでした。2026年の半導体市場は9,755億ドル、主要ハイパースケーラーによる設備投資額は6,020億ドルに達すると予測されています。

T:ハイパースケーラーとは何でしょうか?

神様:ハイパースケーラーとは、米国のAmazon、Alphabet(Google)、META、Microsoft、ORACLEなど、クラウドサービスを大規模に構築し運用している企業のことを言います。

T:なるほど。ハイパースケーラーは全世界でクラウドサービスを展開し、世界中に大規模なデータセンターを持っているので、桁違いの設備投資を行うわけですね。ハイパースケーラーによる設備投資額の全世界半導体市場に占める割合は、2025年が約52%であったのに対し、2026年は約62%とさらに伸びていますね。まさにAIが加速度的に発展している原動力とも言えそうです。

神様:これまでも何度も取り上げてきましたが、半導体市場の拡大に伴いメモリ価格が高騰しています。特にAI時代の主役として注目されているのがNAND型フラッシュメモリです。NAND型フラッシュメモリは、電源を落としてもデータが消えない不揮発性メモリのことを指し、データ保存に不可欠です。近年ではSSDなどが生成AIの学習用データを保存するストレージとして活用され、データセンター向けの需要が急拡大しています。

T:先日パソコンを見に家電量販店に行ったところ、パソコンの価格が以前よりかなり高額になっていて驚きました。特にSSDの価格高騰が影響しているようでしたね。

神様:価格高騰は円安の影響もあるでしょうが、生成AIのニーズが高まっている影響は大きいです。生成AIの発展も2025年の後半からは新たな変化が生じています。生成AIがデータを蓄積・整理する「学習」が重視される段階から、人間の問い合わせに対して回答する「推論」が重視されるようになってきました。

T:AIの学習と推論は何が違うのでしょうか?

神様:学習は大量のデータを読み込み、パターンやルールを発見して整理していく、いわばモデルづくりと言えます。一方で、推論は学習して構築したモデルを使い、新しいデータを読み込んで結論を導き出す、何らかの答えを出すことです。最近は推論モデルが進化しており、AIの著しい進化・成長が見られます。推論モデルの進化に伴い、推論処理を高速化するためのニーズが高まっています。NAND 型フラッシュメモリはデータの処理速度に優れ、低遅延、省電力などの点で注目されているのです。

T:SSDなどのフラッシュメモリは、AIにとってはモノを覚えておく記憶領域のようなもので、その性能が上がるほど答えを出すスピードも精度も上がるのでしょうね。そして、AIの能力を上げるために世界中のデータセンターで大規模な設備投資が行われているということですか。

神様:今はAIに「プロンプト」といった指示を与えてAIから回答を導出していますが、やがては人間が指示を出さなくてもAIが自律的に実行していく”自律エージェント”が活躍するようになるでしょう。自律エージェントにとって推論は非常に重要です。AIがあたかも人間のように考え、行動する時代がすぐそこまでやってきています。

T:これはNANDフラッシュメモリの価格高騰は当分おさまりそうにありませんね。現在の予測では、いつ頃までこの高騰は続きそうなのでしょうか?

神様:足元のNAND市場の中心である3ビット/セル(TLC)の契約価格を見ると、2025年の年初から2026年5月までの間で9倍程度に増加しています。特にサーバー向けとなる大容量のNANDの価格高騰は著しいです。そして、国内NANDメーカーによれば需給の引き締まりは2027年まで続くと見られています。

T:今年、来年とNAND市場の急拡大に注目ですね。

(この項終わり。次回7/8掲載予定)

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