【ワシントン時事】米国とイランによる戦闘終結の最終合意に向けた協議では、17日署名の覚書で先送りされたイランの核計画制限が最大の焦点となる。レバノンでの停戦履行も交渉の行方を左右しかねない重要課題に浮上している。
覚書には「レバノンを含む全ての戦線での戦闘終結」がうたわれたが、イスラエルと親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘は継続したままだ。イラン側はイスラエルが攻撃を続けていると非難し、スイスで当初19日に予定された米国との協議を延期。さらに20日には、原油輸送の要衝ホルムズ海峡封鎖で対抗すると警告した。
米紙ワシントン・ポストによれば、米情報機関はトランプ政権に、イスラエルのネタニヤフ首相が米イランの合意を損なう行動に出る可能性が高いと報告した。ネタニヤフ氏は、核問題が先送りされ、ミサイル開発の制限も含まなかった覚書に反発を強めている。レバノン攻撃の継続で交渉を妨害するとの見方もある。
イスラエル世論ではヒズボラとの戦闘強化への支持が高く、10月までに総選挙を控えるネタニヤフ氏は国内向けに弱腰を見せたくない事情もある。トランプ政権はイスラエルにヒズボラとの停戦を要請し続けているが、履行されるかは不透明だ。イスラエルがヒズボラの拠点がある首都ベイルート南郊攻撃を控えても、レバノン南部駐留を続ければ、米イランの交渉を頓挫させかねない。
他方、焦点の核問題についても難航が予想される。イランが保有する約400キロの高濃縮ウランの扱いが議論の中心で、高濃縮ウランの希釈方法や搬出先などで双方は妥協点を探ることになる。ウラン濃縮活動の凍結期間も話し合うとみられる。トランプ大統領はこれまで「20年で十分だ」と発言しているが、イラン側は10年を求めているとされる。
〔写真説明〕イスラエルのネタニヤフ首相=15日、エルサレム(AFP時事)