安保文書「核」巡り不協和音=踏み込む維新、自民冷淡

フィジカルAI 政府が注目の理由

 安全保障関連3文書の年内改定に向け、政府に対する自民党と日本維新の会の提言が出そろった。維新は非核三原則見直しの「現実的検討」や原子力潜水艦の保有に踏み込んだが、政府と自民からは「突っ走り過ぎだ」と冷ややかな声が上がる。維新が独自の主張にこだわれば、秋以降に本格化する改定作業が難航する可能性もある。
 両党の実務者は19日、国会内で会談。提言を持ち寄ったが内容の共有が目的で、論点の深掘りや見解のすり合わせは行わなかったという。
 両党の提言で、顕著に違いが表れたのが核政策だ。維新は非核三原則の「持ち込ませず」について、「現実的検討を行うべきだ」と指摘。米軍の攻撃型原潜の寄港拒否を疑問視し、核共有の検討も求めた。垂直発射システム(VLS)を搭載した大型潜水艦の導入を巡っては「動力は原子力以外に存在しない。早急に導入すべきだ」と訴えた。
 これに対し、自民提言はいずれも言及していない。「持ち込ませず」の見直しは高市早苗首相の持論でもあるが、「米国が提供する拡大抑止の信頼性を一層確保する」と記すにとどめた。ある国防族は「非核三原則は議論の対象にならなかった」と明かした。
 完成した提言書は、自民の31ページに対し維新は4倍の124ページ。維新カラーが前面に出た提言に、自民からは「アピールするのはいいが、本当に実現できるのか。国民の理解がないと安保は成り立たない」(防衛相経験者)との声が漏れる。
 防衛省幹部も「非核三原則は国是であり、一朝一夕に見直せるものではない」と指摘。原潜導入には長期間を要するとして「安保環境が変化する中でどこまで時間をかけられるのかという視点が必要だ」と語った。
 両党は週内にも提言を首相に手渡す方針。2022年の3文書改定で、自民は与党だった公明党との協議会を設置して議論を重ねた。自維の隔たりは大きく、折り合えるかは見通せない。政府関係者は「最大公約数を取ることになる」と述べ、玉虫色の決着を予測した。 
〔写真説明〕記者団の取材に応じる自民党の浜田靖一(左)、日本維新の会の前原誠司両安保調査会長=3月6日、首相官邸