米国とイランの軍事衝突によるホルムズ海峡の事実上の封鎖は、原油調達の9割超を中東に依存していた日本の脆弱(ぜいじゃく)性をあらわにした。開戦から3カ月、官民で同海峡を通らない中東産や米国など中東域外からの代替調達を加速させ、6月には前年の原油調達実績の8割程度を確保する見通しだ。ただ、代替調達は安定性・採算性が課題で、貿易のほぼ全てを海運が担う日本は海上輸送の強靱(きょうじん)化が試される。
日本と中東を結ぶ原油輸送ルートは「オイルロード」と呼ばれる。これまでは、日本から空(から)の大型原油タンカーでペルシャ湾に向かい、満載して戻ることを繰り返してきた。ところが同海峡の封鎖で事態は一変。商船三井の田村城太郎社長は「海上輸送の安全確保がいかに重要かが改めて強く認識されている」と強調する。
代替調達では、まず同海峡を通過しない中東産原油のルートが浮上。紅海とオマーン湾にある、それぞれサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の港が主流だが、いずれも攻撃される危険性がある。このため海外企業が運んだ原油をマラッカ海峡付近などで日本の船に積み替える「STS(シップ・トゥ・シップ)」が増加。関係者は「(輸送を)全て日本でというのは難しい」と説明する。
一方、中東域外からのルートでは、4月に米国、5月にアゼルバイジャンからの原油が到着。順次、アフリカや中南米に拡大していく見通しだ。
楽天証券経済研究所の西勇太郎グローバルアナリストによると、28日時点の船舶位置情報データで日本に向かう原油タンカーは約1カ月前から6隻増加し27隻。うち半数超の15隻が米国発で、マレーシアで積み替えたとみられる6隻が続くなど、オイルロードは多方面に広がりつつある。
ただ、海運関係者は「代替ルートは輸送日数が長くなる」とし、「コストや物理的な制限の影響」を指摘する。洋上で原油を積み替えるSTSは安全性の確保が重要で、スエズやパナマといった運河を使う際には船のサイズや積み荷の量に制限がかかる。海運大手幹部は代替調達を巡り、当初は政府との間で配船できるタンカー数に関する認識の「ギャップが大きかった」と明かす。
海運大手3社は現状、ホルムズ海峡の通航正常化を7月以降と見込むが、開放されても封鎖前とは交通量や費用は様変わりすると見ている。日本郵船の曽我貴也社長は「7月1日から全てがどんと前に戻ることはあり得ない」と慎重。政府関係者は「一度閉じたので2回目の封鎖もあるかもしれない」と懸念を示した。
〔写真説明〕3月17日、千葉沖に停泊する石油タンカー(AFP時事)