中国対抗「準同盟」鮮明に=日比首脳、米つなぎ留め課題

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 高市早苗首相とフィリピンのマルコス大統領は28日、「包括的・戦略的パートナーシップ」に両国関係を格上げすることを申し合わせた。「準同盟」関係を鮮明にし、共通の懸念である中国の軍事活動に対抗するのが狙いだ。双方の同盟国である米国の姿勢は揺れており、両国で連携してインド太平洋地域へのつなぎ留めを図る考えだ。
 「国際環境の変動に左右されることなく、持続的に同志国関係を強化する」。首相は28日の会談後の共同記者発表でこう強調。マルコス氏は「両国関係をさらなる高みに引き上げたい」と語った。
 フィリピンが「包括的・戦略的パートナーシップ」と位置付ける2国間関係は日比関係が初めてだ。自衛隊と比軍の連携強化に向け、両国は24年に「円滑化協定」、26年に「物品役務相互提供協定」を締結しており、今回の首脳会談では機密情報を共有するための軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正式交渉開始で合意した。
 フィリピンは中国との間で、南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)諸島などを巡って領土問題を抱える。24年には中国海警船がフィリピン船舶に衝突し、複数の負傷者が出ている。
 日本も沖縄県・尖閣諸島周辺などで中国の強引な海洋進出に手を焼いているが、首相周辺は「フィリピンが向き合う中国は東シナ海での中国より何倍も高圧的だ」と解説する。
 中国が台湾の武力統一の可能性を排除しないことも日比共通の懸念だ。沖縄、台湾、フィリピンは中国が引いた防衛ライン「第1列島線」上に並んでおり、日本外務省幹部は「フィリピンは地政学上も非常に重要な国だ」と指摘する。
 日本が防衛装備移転三原則と運用指針を4月に改定したことを踏まえ、両国は装備品を巡る協力も深化させる。フィリピン政府は中古の海上自衛隊「あぶくま型」護衛艦の取得に関心を寄せており、首相は共同記者発表で「防衛当局間のやりとりを加速させる」と語った。
 両国は米国も加えた日米比3カ国の連携強化を思い描く。ただ、トランプ米大統領が中東や中南米への対応にのめり込み、インド太平洋地域への関与を低下させかねないのが両国の悩みの種だ。日本政府関係者は「今回の会談で日比関係の今後10年の方向性を示せたのは大きい」と語り、米国つなぎ留めのてこになり得ると期待を示した。 
〔写真説明〕共同記者発表に臨む高市早苗首相(右)とフィリピンのマルコス大統領=28日午後、東京・元赤坂の迎賓館(代表撮影)