欧州右派、トランプ氏に見切り=国内選挙で「足かせ」

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 【ベルリン時事】欧州の右派勢力が、人気にあやかろうとしてきたトランプ米大統領と距離を取り始めている。米国の対イラン軍事作戦に伴う原油高騰やトランプ氏によるローマ教皇批判を巡り、右派支持層の反発が増大。各国で重要な選挙が迫る中、トランプ氏との近さが「足かせ」(英世論調査会社)になりかねないとして見切りを付けたもようだ。
 「トランプ大統領の教皇に関する発言は受け入れられない」。イタリアの極右政党を率いるメローニ首相は4月、ローマ教皇レオ14世を「犯罪、核兵器に弱腰」などとののしったトランプ氏に反論する公式声明を出した。欧州メディアによると、メローニ氏がトランプ氏を公然と批判するのは初めて。
 メローニ氏は各国首脳の中でもトランプ氏との親密さが際立っており、欧米関係がぎくしゃくする中で緩衝役を演じてきた。だが、総選挙を来年に控え、カトリック教徒が大半のイタリア世論の圧力にさらされて軌道修正を余儀なくされた。
 ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、昨年2月にバンス米副大統領が欧州右派への共感を示して以来、トランプ氏の熱狂的支持層「MAGA(マガ)」派との交流を密にしてきた。しかしワイデル共同党首は最近、米国側との接触を控えるよう党員に要求したもよう。公共放送は、9月の州議選をにらみ「現時点で親密さをアピールしても得るものはない」と打算したとの識者の見方を伝えた。
 フランス紙ルモンドによると、来春の大統領選で勝利を狙う極右野党・国民連合(RN)内でも、トランプ氏にへつらうバルデラ党首らの過去の言動が「汚点」になるとの警戒感が浮上した。英国では新興右派ポピュリスト政党リフォームUKの支持率が頭打ちなのは、ファラージ党首のトランプ氏肩入れが要因だと指摘されている。
 トランプ政権が高関税政策やデンマーク自治領グリーンランド領有問題などで欧州を揺さぶるたびに欧州右派は立場の調整に悩まされてきた。4月のハンガリー総選挙で、トランプ氏から応援を受けたオルバン首相(当時)が惨敗したことも遠心力に拍車を掛けそうだ。 
〔写真説明〕トランプ米大統領(右)とイタリアのメローニ首相=2025年10月、エジプト東部シャルムエルシェイク(AFP時事)