繰り返される襲撃、三たびの危機=トランプ氏「影響力あるから標的」―米社会分断、政治暴力やまず

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 【ワシントン時事】米首都ワシントン市内のホテルの夕食会場で25日に起きた発砲事件で、容疑者はトランプ米大統領を標的にした可能性が高い。今回を含めれば、トランプ氏に対する襲撃は2024年以降3回目となる。同氏は自身の「影響力」こそが原因だとの見方を示す。事件は、トランプ氏を巡る評価を軸に世論が分断され、政治的暴力がやまない米社会の現状を改めて鮮明にした。
 「彼ら(暗殺犯)は最も多くのことを成し遂げる人、最も大きな影響を与える人を付け狙うものだ」。ホワイトハウスに戻り、タキシード姿のまま記者会見に臨んだトランプ氏はこう指摘し、大統領職は「危険な職業」だと語った。16年の大統領選で共和党候補の座を争ったルビオ国務長官を指さして「マルコ(ルビオ氏)が(危険だと)教えてくれていたら出馬しなかったかもしれない」と冗談を飛ばす余裕も見せた。
 トランプ氏はこれまでも暗殺の危機にさらされてきた。24年7月、東部ペンシルベニア州バトラーで選挙演説中に銃撃を受け、耳を負傷。容疑者はその場で射殺され、動機や背景の解明は進まなかった。
 約2カ月後には、南部フロリダ州のゴルフ場でプレー中だったところを銃で狙われ、警護官が発砲して阻止する事件が発生。当局が現場から逃走した男を拘束し、男は今年2月、同州の連邦地裁で終身刑を言い渡された。
 トランプ氏以外を対象にした政治的暴力も相次いでいる。西部ユタ州で25年9月、保守活動家のチャーリー・カーク氏がイベント中に銃撃され死亡した事件では、狙撃の瞬間の映像がSNSなどで流され、衝撃を与えた。22年には、ペロシ下院議長(当時)の夫が自宅で襲撃される事件も起きている。
 事件の頻発は対話の重要性を唱える声だけでなく、「戦い」を訴えるメッセージも増幅してきた。バトラーの事件では、血を流しながら「ファイト」と連呼するトランプ氏の姿が「強い大統領」像を印象付け、大統領選の勝利をもたらす一因になった。トランプ氏は、カーク氏の追悼式典で「銃弾はわれわれ全員を狙っていた」と語り、保守勢力を敵視する急進左派に責任があると主張した。
 トランプ氏は今回の事件後、「悪党たちにわれわれの行動を変えられたくない」と話し、中止となった夕食会は30日以内に再び開かれると宣言。「私が精神的に参ってしまうことはない」と強調した。 
〔写真説明〕銃撃を受け、選挙集会のステージから退避する直前、拳を突き上げるトランプ米大統領=2024年7月、東部ペンシルベニア州バトラー(EPA時事)