物価上昇、政策効果と綱引き=原油高は広範囲に波及へ

JR東の運賃値上げ 背景・理由は

 消費者物価の上昇率が5カ月ぶりの拡大に転じた。中東情勢の緊迫化を受けた原油価格の高騰が背景だ。4月以降、政府の補助金効果でガソリン代上昇は抑えられるが、原油高の影響は今後、時間の経過とともに広範な品目に及ぶと見込まれる。物価は当面、上昇圧力と政策による引き下げ効果の間で綱引きが続きそうだ。
 2月までの消費者物価(生鮮食品を除く)の前年同月比上昇率は、コメなど食料品価格上昇に一服感が出てきたことに加え、政府の電力・ガス代補助、ガソリンの暫定税率廃止の効果で鈍化しつつあった。しかし、総務省が24日発表した3月の上昇率は1.8%。ガソリンや灯油の値上がりを主因に、2月の1.6%から一転して加速した。
 先行きは、物価の押し上げ、押し下げ双方の要因が混在する見通しだ。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、中東情勢が沈静化し原油価格が徐々に低下する場合でも、「当面は1%台後半~2%程度で推移する」と予想する。
 3月19日に始まったガソリン補助金に加え、新年度から実施された私立高校の授業料や公立小学校の給食費無償化は物価を下押しする。一方、電気・ガス代補助が4月請求分から縮小し、5月以降なくなるのは押し上げ材料だ。足元の燃料価格上昇を反映し、電気・ガス代は夏場以降本格上昇する見込みで、補助は再開される公算が大きい。
 原油高は輸送コストなどを通じ、すでに企業間取引の物価上昇を招きつつある。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「日本企業は増加したコストの家計向け販売価格への転嫁にちゅうちょしなくなっている」と指摘。食料品や日用品などの価格は「半年かからず引き上げられるものが多い」と分析する。