第376話 高級化する「おにぎり」 コンビニで人気・専門店も増加

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:観光庁によると、2023年10月の訪日外国人観光客数が2019年10月比で0.8%増の251万6,500人となり、コロナ禍前の水準を初めて上回りました。今後のさらなる増加が楽しみです。

神様:中国からの観光客は依然として回復が鈍いようですが、韓国からの観光客が大きく伸びているほか、米国やドイツなど欧米からも増加しています。今後もコロナ禍前の訪日客数を上回る状態が続くことを期待したいところです。

T:足元では円安が続いています。2023年7~9月期のインバウンド消費額はすでにコロナ禍前を上回っていました(第374話 「爆買い」より「コト消費」インバウンド需要は回復から拡大へ)。今後、本格的な訪日客数の拡大フェーズに入れば、インバウンド消費額のさらなる増加、そして国内経済の押し上げ効果への波及にも注目したいですね。

神様:インバウンド消費といえば、訪日外国人客の間でコンビニが人気なようです。これはコロナ禍前の調査ですが、観光庁が2019年に公表した「訪日外国人の消費動向」によれば、お土産品の買い物場所で最も選択されるのが「コンビニエンスストア」であり、訪日客から73.9%の割合で選択されていました。その他の場所では、「空港の免税店」が59.8%、「ドラッグストア」が59.5%、「百貨店・デパート」が55.6%でした。

T:みなさん、来日してコンビニの便利さに驚くようですね。先日は訪日客にお菓子が人気であり、お菓子市場が回復傾向にあるとのお話もありました(第356話 コロナ禍から回復傾向にあるお菓子市場 今後の動向は?)。コンビニであれば日本で人気のお菓子をいつでもどこでも買うことができます。

神様:訪日客に限らず、日々利用するお客さんの中でも変化は起きているようです。コンビニにはお弁当やおにぎりなど、豊富な種類の商品がありますが、日本総菜協会によれば、2022年の米飯類の市場は前年比で3.5%増となる10兆4,652億円でした。2019年と比べると101.4%となり、コロナ禍前の水準を上回りました。

T:お惣菜の米飯類市場も、コロナ禍前の水準まで回復したのですね。米飯類というのは、コンビニの他にはどんなものがありますか?

神様:惣菜市場の中での米飯類として、コンビニ以外に総菜専門店、百貨店、総合スーパー、食料品スーパーなどがあります。

T:最近はおにぎりの専門店も増えていますよね。

神様:ぐるなびによると、8割近い人が専門店でのおにぎりの購入に興味を持っているとする調査結果もあるようです。

T:身近な食べ物ですし、多くの人が興味を持つのは納得ですね。

神様:コンビニによる長年のマーケティング活動として、おにぎりの高級化を推進してきたことが専門店の増加にも繋がっているようです。コンビニでも色々な種類のおにぎりが販売されていますし、定番商品より少し高めのものもあります。専門店では炊き立てのお米と豊富な具材で普段よりおいしい商品を購入できるなど、おにぎりの需要が伸びているのかもしれません。

T:なるほど。コンビニのおにぎりもバリエーションが豊かになっただけでなく、おいしくなりましたよね。ところで、おにぎりの高級化が進んでいるということは、客の購入単価も高くなっているということですよね。

神様:その通りです。おにぎり単体で見ても、3年前と比較すると相対的に高価格帯の購入が増えています。すなわち、おにぎりの高級化は収益性向上にも繋がっています

T:今後も付加価値の高い商品を出して固定客を獲得できれば、関連企業に恩恵をもたらすことになりそうですね。

(この項終わり。次回12/6掲載予定)

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