第347話 “AI新時代“到来も追い風? 企業の業務効率化に期待

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、公園を散歩しながら投資談義を行っています。


T:前回のチャットGPTのお話から、最近は連日のようにAIやチャットGPT関連のニュースを目にするようになりました。米企業を中心とした対話型AIの開発競争も激化している印象です。

神様:日本でも、企業や自治体でチャットGPTを導入する動きがあるようですね。

T:世界的なAI活用新時代が到来したと言っても過言ではないように思います。これから新しいAIサービスが次々と出てくるのでしょうね。そこで、とても気になっているのですが、いよいよAIに人間の仕事が奪われていく時代がやってくるのでしょうか?

神様:Tさんはそう思いますか?

T:それはもちろん、そう思います。AIが優れている分野ではそのようなことも十分あり得るのではないかと。

神様:私は、そう悲観的になる必要はないと思いますよ。

T:え、なぜでしょうか?

神様:日本は現在、少子高齢化の真っ只中にいます。労働者人口も今後さらに減少していきます。多くの業界で人手が不足しており、各企業では業務効率化を迫られているのです。

T:なるほど。AIに仕事を奪われるのではなく、むしろ大いに手伝ってもらわなければいけないわけですね。

神様:日本の総人口は2005年に戦後初めて前年を下回った後、2008年にピークとなりました。そして、2011年以降は12年連続で減少しています。2022年の出生数(速報値)は79.9万人と7年連続で過去最少を記録し、国の推計よりも11年早く80万人を割る結果となりました。4月にはこども家庭庁が発足しましたが、加速する少子化はすぐに解決するものではありません。

T:確かに、今後は更に人手不足が進んでいくわけですね。

神様:リクルートは2023年3月、同社が企画運営する求人メディアに掲載された求人情報より、派遣スタッフの募集時平均時給を集計しました。三大都市圏の2月度平均時給は、前年同月より36円増加の1,611円となりました。職種別に募集時平均時給をみると、製造・物流・清掃系、IT・技術系の2職種は2018年3月度の集計データ以来、過去最高額を更新しました。どちらも人手不足が顕著な職種です。企業によっては、これらの職種や他社の賃上げ水準をみて自社の時給などの条件を見直す動きも見られます。

T:製造・物流・清掃系、IT・技術系と言えば、人手不足が顕著な職種ですね。時給アップはうれしいですが、それだけで解決できる問題ではなさそうです。

神様:もちろんです。当面の間は労働者人口の減少は進むと想定されますから、今後は人の手間を省くこと、省人化の投資等がさらに進むことが考えられます。

T:業務効率の向上にAIが活躍する場は多くありそうですね。

神様:例えば、「RPA(Robotic Process Automation)」とは、ロボットによる業務プロセスの自動化のことを言います。ソフトの開発などにより、普段行っている業務を自動化、省力化することで業務の負担を減らすことができますが、今後は対話型AIが大きく活躍する場ともなりそうです。

T:そうすると、AIを上手に使っていく技量も必要になりそうですね。

神様:おっしゃる通りです。AI活用に限らず、企業としては業務効率化や生産性の向上を実現し、さらに自社の魅力をアップさせ、良い労働条件、良い待遇を提供することができる態勢を整える必要があります。人材派遣やアウトソーシングを活用することも大切です。日本にはそのようなサポートを提供する企業が数多くありますから、今後の活躍に期待しましょう。

T:少子高齢化の最先端の国として、どのように課題を解決していくか注目です。

(この項終わり。次回5/3掲載予定)

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