第335話 ドローン活躍の場が拡大 「レベル4」飛行解禁でできることは?

株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内にある神社の境内を散歩しながら投資談義を行っています。


神様:2022年12月5日、ドローン業界で大きな出来事がありました。何かわかりますか?

T:いいえ。何でしょうか?

神様:改正航空法が施行され、有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行を指す「レベル4」の飛行が可能となりました。

T:これまでのお話では、2020年にドローンによる携帯電波の利用が解禁された(第222話 「空の産業革命」へ前進 ドローンが見せる世界)のでしたね。

神様:2020年12月に、高度150メートル未満の上空について、利用許可の手続きを経て携帯電波を利用したドローン飛行が可能となりました。

T:許可が必要なのですね。

神様:そうです。携帯電話システムは地上での利用を想定したもので、携帯電話をドローンに搭載し上空で利用すると、同じ周波数の電波を用いる他の基地局と混信を引き起こし、地上の携帯電話の通信が途切れるなどの可能性があるためです。

T:なるほど。

神様:さらに現在、高度150メートル以上の上空での携帯電波の利用や5G通信の利用を目指し、総務省で協議が行われています。

T:空飛ぶクルマ(第302話 2025年万博で導入へ 交通を変える「空飛ぶクルマ」とは?)での利用なども想定されているのでしょうね。ところで、レベル4を表す「有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行」とは、具体的にはどういう飛行のことを言うのでしょうか?

神様:国土交通省によれば、レベル1は空撮などの「目視内での操縦飛行」、レベル2は農薬散布など「目視内での自律飛行」、レベル3は輸送の実証実験など「無人地帯での目視外飛行」を指しています。目視(内)とは、ドローンを直接目で見て操縦していることと考えれば良いでしょう。レベル4では、例えば災害時に救援物資を輸送したり、市街地や山間部などへ医薬品や食料品などを実際に配送したりすることが可能になります。

T:物流業界にとっても大きなインパクトになりそうです。ドローンの活躍の場が大きく広がりますね。

神様:その通りです。2021年度の日本国内のドローンビジネス市場規模は、前年度比で25.4%増の2,308億円と推測されています。2022年度には前年度比で34.3%増の3,099億円に拡大し、2027年度には7,933億円に達すると見込まれています。実に年率22.8%の成長率です。一方で自治体への調査では、ドローンを活用したことがあると答えた割合は全体の59%でした。約4割の自治体では未活用であり、これから活用が増えることが見込まれます。

T:現在ドローンの活用が多い分野は何でしょうか?

神様:最も多いのは「災害対策・防災」です。これは、すでに規制が緩和されている「無人地域」で活用されていることが考えられます。2番目に多いのが「観光」、さらに「農林水産」、「建築・土木」、「インフラ点検」と続きます。まだ活用率が低い分野でも、レベル4飛行が可能になることによってビジネスチャンスが増加していくことでしょう。ドローンビジネスを展開する企業にとっては収益向上の機会となることが期待されます。

T:今後の活躍に期待したいと思います。

(この項終わり。次回2/8掲載予定)

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