静岡県警高速隊のSNSでの注意喚起でも話題になった「西富士道路」は、高速道路に直結した「高速道路のような規格の」道路です。実は物流の面でも便利に使われている側面があります。
高速道路直結の高速道路みたいな道「西富士道路」
静岡県警の高速道路交通警察隊が2026年10月27日、国道139号「西富士道路」で新東名高速 新富士ICへの誤進入が多発しているとして注意を呼びかけ、1日で5.8万回以上表示されるなど話題になりました。そもそもこの西富士道路、東名高速と新東名高速に接続し、「高速を下りた先」も緑看板の高速道路のような道路が続くという、少し変わった構造です。このルートはいったい何なのでしょうか。
西富士道路は、静岡県富士市から富士宮市にかけての約6.8kmを結ぶ国道139号のバイパスです。東名高速(富士IC)の開通などで交通量が増えた国道139号の混雑緩和を目的に建設され、1982年に開通。当初は有料でしたが、2012年4月に無料開放されました。
無料化の同月には新東名高速も開通し、西富士道路は新富士ICを介して新東名とも接続。東名・新東名から富士山の観光地へ向かう重要なルートになっています。
無料化前と比べて交通量は大幅に増加し、特に大型車は10倍以上に増えたといいます。つまり、物流面でも重要な役割を担う便利なルートなのです。国土交通省は、こうした大型車の増加などによって舗装の傷みが進んでいるとして、補修工事を計画的に実施しています。
この国道139号は、新東名と中央道を短絡する“無料ルート”であることが大きな特徴です。
西富士道路を北上すると、いったん一般道との平面交差に変わります。しかし、さらに進むと再び自動車専用道路が現れます。これは「富士宮道路」の自動車専用区間(富士宮市、8.7km)です。こちらも国道139号のバイパスとして整備された区間で、富士宮市街地を抜け、富士山西麓の朝霧高原方面へと向かいます。道路の途中には、一般道から入ると自動車専用道路に進入してしまう交差点もあり、注意が必要です。
さらに北上すると山梨県に入り、富士山の北側を東西に横断するルートとなり、その先には中央道(富士五湖線)の河口湖ICがあります。また、国道139号から精進湖のほとりで分岐する国道358号を北上すると、峠道をはさみますが甲府盆地に抜けて中央道の甲府南ICに直結しています。
時間はかかるが「無料」で抜けられるのはデカい!
ここで注目したいのが、富士山の西側をゆく国道139号ルートと「富士山の東側」を通るルートとの違いです。
東側には中央道から続く東富士五湖道路があり、さらに御殿場に出て東名・新東名方面へ向かうことができます。ただし、東富士五湖道路は有料で、新東名経由で新富士ICまで回り込むような線形になります。
これに対し、西側の国道139号をたどれば、西富士道路や富士宮道路を含め、無料の区間を連ねて移動できます。たとえば新富士ICから河口湖ICまで、所要時間は数十分多くかかるものの、距離は短く、高速道路を乗り継ぐルートと比べて通行料金を節約できるわけです。
新富士IC~河口湖IC間は新東名・東富士五湖道路経由の場合、ETC普通車で3560円もかかります。これを“チャラ”にできるのは大きいでしょう。
なお、国道139号のさらに西側には、一部無料区間を有する中部横断道が通っていますが、山で隔てられているため“別の地域の道路”という印象です。県境を越えることもあり両者をつなぐルートも多くはありません。
高速道路のような自動車専用道路と一般道が交互に現れながら富士山の西側を横断する国道139号。観光地へのアクセスだけでなく、東名・新東名と山梨県方面を結ぶ物流ルートとしても重要な役割を担っています。