存在感増す急進左派=格差拡大で「民主社会主義」期待―米中間選挙・NY

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 【ニューヨーク時事】米中間選挙で野党・民主党の急進左派が存在感を増している。経済格差の是正や公共サービス拡充を目指す急進左派の政治団体「米民主社会主義者(DSA)」が支援する候補者が、各地の予備選で主流派を破る例が続出。物価高や格差拡大への不満を募らせる有権者の間で支持を広げてきた。
 ◇「平等な社会」目標
 DSAのニューヨーク市支部は全米最大の会員数を有する。10月、中心部マンハッタンで開催された加入説明会をのぞいた。20代の学生ら若い世代が目立ち、「家賃やあらゆるモノの値段が高すぎる」との不満の声が多く聞かれた。「地域のために何かしたい」と熱意を込める人もいた。
 DSAは富裕層への課税強化や労働者の権利向上を訴え、草の根運動を重視する。司会を務めた30代半ばの会社員アレグラ・ローゼンバウムさんは、平等な社会の実現を目指さなければならないと強調。民主党主流派に対しては「献金者の声ばかり聞き、労働者階級を助けていない」と批判した。
 同市はDSAの「牙城」で、マムダニ市長もメンバーだ。連邦下院では、若手の左派代表格で2028年の大統領選出馬も取り沙汰されるオカシオコルテス議員や、DSA系新人2人の当選が確実視される。3人とも30代の女性だ。
 DSAに今年加入したという弁護士のフィリップ・リードさん(34)は、国民皆保険などの高福祉政策や公共交通の整備を推進すべきだと考え、3候補に期待を寄せる。DSAの人気の背景については「億万長者が富を増やす一方、普通の米国人は食料購入や保育サービスの利用にも苦労している。民主党も共和党も自分たちの代表と感じられないのではないか」と分析した。
 DSAは二つの社会主義系団体が合併し、1982年に設立された。長らく小規模だったが、16年に大統領選の民主党予備選で「民主社会主義」を掲げるサンダース上院議員が善戦したことをきっかけに会員が増加。社会主義への抵抗感が薄く経済的閉塞(へいそく)感を抱く若年層を引きつけ、現在、会員数は約12万人に上る。
 ◇政策に警戒も
 DSA本部の綱領には、連邦議会上院の廃止や選挙制度の見直し、刑務所廃止といった過激な変革も並ぶ。トランプ大統領は、民主党左派を共産主義的だと主張。「人民の敵」と口を極めてののしった。
 ニューヨーク市東部の下院選挙区で、DSA系民主党候補のクレア・バルデス氏と対決する共和党のメルビン・リベラ氏は、DSAが主張する司法や立法の改革は「権力均衡の仕組みを覆し、米国を内側から破壊しようとしている」と非難する。
 民主党中道派も急進左派の勢力拡大を警戒している。ジェフリーズ下院院内総務は米メディアのインタビューで、議席獲得への貢献を期待する一方、「私はDSAの政策を支持しない」と明言。民主党が左傾化を進めるとの見方を打ち消した。
 民主党はトランプ政権の支持率低下を追い風に、上下両院での多数派奪還を狙う。同党はトランプ政権の追及を強める構えだが、議席数を増やした急進左派が政策実現を求めて党指導部への圧力を強めれば、党内対立は深まりかねない。米政治の行方は不透明さを増す可能性がある。 
〔写真説明〕「米民主社会主義者(DSA)」支部が開催した加入説明会=10月7日、ニューヨーク
〔写真説明〕「米民主社会主義者(DSA)」が支持する民主党候補者への投票を呼び掛ける運動員(右端)=10月10日、ニューヨーク