ラシン・サンタンデールに復帰したセルヒオ・カナレスが、16年ぶりに本拠地『エル・サルディネーロ』のピッチに立った。
19歳で故郷を離れた“天才児”が、35歳となったこの夏に帰ってきた。ラシン・サンタンデールのカンテラ出身でトップチームに彗星の如く現れたカナレスは、19歳の夏にレアル・マドリードに加入。しかし、スーパースターが揃う“銀河系軍団”で定位置を確保できずに終わると、バレンシアで2度、レアル・ソシエダで1度膝の大ケガに見舞われた。それでも、同郷のキケ・サティエン氏が率いたベティスで復活を遂げると、28歳でついにスペイン代表デビュー。その後は、リーグ屈指の実力者としてキャリアを重ねた。
それからさらに歳月が流れた今夏、2023年夏からプレーしたモンテレイ(メキシコ1部)を契約満了により退団したカナレスは、時を同じくして、1959-60シーズン以来のセグンダ(スペイン2部)優勝を手土産に15年ぶりの1部復帰を決めた“始まりのクラブ”へと復帰する。報道によると、年俸はモンテレイ時代から80パーセントダウンとなる金額とされるが、「今を逃すと2度とチャンスはないと分かっていた」として、迷うことなく決断したのだった。
そして16日、2026-27シーズンのラ・リーガ開幕節ビジャレアル戦において、トップ下でスタメン出場。確かな技術と戦術眼、イニゴ・ビセンテらとの連携で攻撃を牽引するなど、ラシンギスタス(ファンの愛称)に対して、「ただいま」という挨拶代わりに、実力が健在であることを証明した。
一時的に2点のリードを奪ったものの、その後に追いつかれて2-2と引き分けたラシン・サンタンデール。試合後、インタビューに応じたカナレスは、「ここに戻って来れてとても嬉しいよ。鳥肌が立つほどだ」と万感。続けて「この団結力は不可欠で、この雰囲気を味わえて本当に幸せ」と去来する胸の内を明かした。
また、「2-0へと至るまでは、思い描いていたゲームプランを遂行できた」と振り返りつつ、「その後は当然、少し守備的に入ることになって、何しろ相手はチャンピオンズリーグに出場するようなチームだからね。それでも僕らは、今日の戦いぶりはとても誇れるものだったと知っている」と結果的に追いつかれたものの、ビジャレアル相手にもボールを握るスタイルが通用したことに対する手応えを口にした。
カンタブリアを離れたあの日、スターダムを駆け上がることを期待された天才児は、何度も選手生命を脅かされながらも、こうしてキャリアの最終章で故郷のクラブに帰ってきた。「不思議な気分だよ。ここに戻ってきてから、まだこの状況に実感が湧いていないんだ。長い間離れていたけど、何よりも誇りと感謝の気持ちでいっぱい」と付け加えたカナレスの活躍に注目しよう。