老眼じゃない! 護衛艦の番号が見えにくくなったワケ でもハッキリ描かれた自衛艦も その違いとは?

紫外線対策「目の防護」も重要に

海上自衛隊の艦艇に大きく描かれている「艦番号」。最近、多くの艦で見えにくくなったと感じませんか。しかし、一方で今までどおり番号がクッキリな艦も。その区別は一体どこにあるのでしょうか。

グレーの数字は意図的、最近は「見えにくくする」がトレンド

 護衛艦を見たことがある人なら、一度は艦首に大きく書かれた数字を目にしたことがあるのではないでしょうか。これは「艦番号」と呼ばれるもので、自動車でいえばナンバープレートのようなものにあたります。

 現役艦艇では艦艇ごとに固有の数字が割り振られて、重複しないようになっています。よって、その番号さえ見えれば、どの部隊・基地に所属する、なんという名称の艦なのかまで把握することが可能です。

 すなわち、あれは艦艇を識別するための大切な番号なのです。ところがこのところ「あれ? 昔より艦番号が見えにくくなった?」と感じている人、いませんか?

 ご安心ください。老眼ではありません! 実はこれ、海上自衛隊が数年前から意図的に行っている技術的な工夫なのです。

 以前の護衛艦は艦番号が白くはっきり書かれているものが多く見られました。しかし近年は、艦体と近いグレーで番号を書く「ロービジ(Low Visibility:低視認化)」が採用される艦が増えています。近くで見るとキチンと読めるものの、遠くから見るとメインカラーのグレーに紛れて番号が見えなくなる仕組みです。

 ちなみに艦番号だけではなく、よく見ると煙突も全体的にグレーに塗りつぶされるようになりました。記事のイラストで艦艇を描くとき、グレー単色に近い船体はちょっと物足りない気がしなくもありません。艦船模型を作るモデラーの皆さんも、この変化がやはり物足りなく感じているのでしょうか? 気になるところです。

役割によって「見せる」「見せない」を使い分ける工夫

 なぜ、最近の艦艇で、このようなシンプル塗装の採用が進んでいるかというと、ズバリ艦艇の識別をされにくくするためです。艦番号がハッキリ見えてしまうと、“どの艦が、どこで活動しているのか” を推測される材料になってしまいます。

 作戦行動の情報が漏れてしまうことや、対策が立てられてしまう事態となるのは非常にマズいと考えられるようになったからのようです。

 そのため、遠距離から識別されにくいほうが望ましい護衛艦などでは、このロービジが採用されているのです。言われてみればごもっともな仕様です……。でも個人的には、あのパキッとした真っ白の塗装の艦番号にロマンを感じています。そのため、ちょっぴり残念なポイントでもあります。もちろん、国防のためには仕方ありませんが……。

 一方で、潜水艦救難艦のような、万が一の事故や災害時に支援を行う艦艇では話が変わってきます。周囲からその姿を見られたうえで、その役割がすぐ分かることが重要です。そのため、これらの艦艇は識別しやすいように、従来どおり番号をハッキリ表示しています。

 つまり海上自衛隊の艦番号の塗装は、「見せる艦」と「見せない艦」を役割によって使い分けているというわけです。

 今度、護衛艦を見学する機会があれば、ぜひ艦首の番号にも注目してみてください。「この艦は番号が薄い」「こちらはハッキリ見える」と見比べてみることで、艦艇の役割が理解できるはずです。