2026年3月、JRの「往復乗車券」と「連続乗車券」が発売を終えました。長距離ほどおトクだった往復割引もセットで姿を消しています。私たちの買い方は、いったいどう変わったのでしょうか。
「片道601km以上で1割引」その恩恵が消えた
2026年3月13日をもって、JRのきっぷが2種類、静かに姿を消しました。行きと帰りを同じ経路で利用する「往復乗車券」と、片道や往復では1枚にできない行程をまとめて買う「連続乗車券」です。
JRグループの発表によると、2024年12月に発表された発売終了の方針について、具体的な取り扱いが決定したことによるものでした。JR各線どうしのきっぷだけでなく、JR各線と連絡会社線とにまたがる連絡乗車券も対象です。
では、そもそも往復乗車券とは、片道のきっぷを2枚買うのと何が違うのでしょうか。
いちばんの違いが、長距離で効く割引です。往復乗車券では、片道の営業キロが601km以上あると、行きと帰りの運賃がそれぞれ1割引になる「往復割引」が使えました。
もう一つの特徴が有効期間です。往復乗車券の有効期間は、片道乗車券の2倍でした。往復割引の対象外となる区間では運賃は片道乗車券2枚分と同じですが、期間が長いぶん、途中でゆっくり立ち寄る旅には便利だったのです。
この往復乗車券の発売終了にともない、長距離利用者に重宝されていた往復割引の取り扱いも同時に終了しました。
なぜ長く続いた仕組みをなくしたのでしょうか。JR各社は理由をはっきり示しています。交通系ICカードなどの全国的な普及拡大や、乗車の都度インターネットで予約できるサービスの利用が広がったことなどにより、往復乗車券と連続乗車券の発売枚数が減少しているためだといいます。時代の移り変わりが、静かな引退を後押ししたと言えるでしょう。
では、2026年3月14日以降、私たちの買い方はどう変わったのでしょうか。
これからは「片道2枚」へ 負担が増える人・変わらない人
基本は「片道のきっぷを2枚買う」形です。JRグループは、往復または連続の行程を買い求める場合、2枚の片道乗車券を購入するよう案内しています。指定席券売機では、従来とほぼ同じ操作で行きと帰りのきっぷを購入できます。
ここで気になるのが、負担が増えるかどうかです。往復割引の廃止だけに限れば、片道600km以下はもともと割引対象外なので、割引がなくなることによる運賃増はありません。一方で、片道601km以上を往復する場合は、往路・復路に適用されていた1割引がなくなるため、そのぶん負担が増えます。
ただし、JR東日本では同じ2026年3月14日購入分から別途運賃改定を実施しているため、利用区間によっては往復割引の廃止とは別の理由で運賃そのものが変わっています。
もっとも、代わりの手段が用意されていないわけではありません。JR各社は、インターネット予約などで、よりお得な割引商品を発売していると説明しています。そのため、各社とも公式ホームページで随時、確認するよう案内しています。
学生割引や「ジパング倶楽部」なども、制度そのものが使えなくなったわけではありません。2026年3月14日からは条件が変更され、1枚の割引証などで片道の割引普通乗車券を2枚まで同時に購入できるようになりました。これにより、往復や連続の行程でも、従来どおり1枚の割引証で利用できます。
ジパング倶楽部については、同日から片道の営業キロが101km以上の場合に割引の普通乗車券を購入できる仕組みに変わっています。
なお、2026年3月13日までに発売された往復乗車券・連続乗車券は、有効期間満了まで利用できる経過措置が取られました。使用開始前であれば1回に限り、乗車日や乗車区間の変更も可能でした。
JRグループは、交通系ICカードの全国的な普及や、乗車の都度インターネットで予約するサービスの利用拡大によって、往復乗車券と連続乗車券の発売枚数が減少したと説明しています。
紙のきっぷをまとめて買う仕組みから、利用のたびに予約するスタイルへと変わるなかで、往復乗車券と往復割引も役目を終えたと言えるのかもしれません。