乗客乗員520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故。夫右弼さん=当時(41)=を亡くした堺市の華道家片桐悦子さん(78)は事故後、現場の「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)に点在する犠牲者の墓標に花を生け続けた。事故から41年となる12日、活動の記録をまとめた写真集を出版した。
写真集のタイトルは「祈りの花 日航機123便墜落事故 御巣鷹にいける」。犠牲者の墓標に生けた花の写真を一枚一枚掲載した。
片桐さんによると、夫の右弼さんも華道家で、「花道みささぎ流」の副家元だった。41年前のあの日、東京での稽古から大阪の自宅に帰る途中で墜落事故に巻き込まれた。
片桐さんは事故の約3年後から毎月、御巣鷹の尾根に登り続けた。日航社員から聞いた犠牲者の生前のエピソードなどを踏まえ、墓標に花を生ける活動を約10年続けた。登山には、生前の夫の作品を撮影していたカメラマンが同行し、片桐さんが生けた花々を撮影した。
最近まで、事故についてメディアに話すことを避けてきた片桐さん。ただ事故を直接知らない記者と出会い、「日本全国、半分くらいの人はこの事故を知らない。やっぱり残すべきかなと、ひしひしと思った」と振り返る。
B5判約500ページの写真集は自費出版で約1200冊発行。今月1日には上野村を訪れ、村役場や図書館に数冊を寄贈した。書店での販売は予定していないが、図書館などの公的機関で置いてもらいたいと話す。
片桐さんは「写真集を手に取って重みを感じ、その時に命の重さも同じように感じてくれたらうれしい。100年後、200年後でも、誰かがこの事故を知るための役割を果たしてくれたらありがたい」と話している。
〔写真説明〕日航ジャンボ機墜落事故の現場「御巣鷹の尾根」(群馬県上野村)の墓標に生けた花の写真集を出版した片桐悦子さん=1日、同村役場