岩盤層「MAGA」健在=福音派、トランプ氏支持―「動員」偏重、分断の危険・米中間選挙

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 11月3日に行われる米中間選挙は、第2次トランプ政権の施政に対する有権者の審判であると同時に、トランプ大統領を軸に再編された米国政治の現在地を示す機会となる。決戦を3カ月後に控え、トランプ氏と与党共和党の岩盤支持層「MAGA(マガ)」の動向を探った。
 ◇「神に従う」
 6月下旬、ワシントン市内のホテルで開かれた「信仰と自由連合」の年次総会。ラルフ・リード会長から「神はこの人物に国を救う使命を与えている」と紹介されたトランプ氏が、ステージに現れた。同氏は野党民主党で勢いを増す急進左派を「神を信じない共産主義者で、建国以来最も深刻な脅威だ」と決め付け、共和党への支持を求めた。
 同連合は保守的なキリスト教徒の有権者の組織化を進める政治団体で、聴衆の大多数は福音派だ。東部ペンシルベニア州から参加したマージー・マッキンリーさんは「共和党は神に従っている。民主党が共産主義への道を進んでいるという現実がより多くの共和党員を目覚めさせることになる」と語った。
 共和党内で最大規模の組織票を持つとされる白人の福音派の間では、トランプ氏の支持率は約7割に達する。同氏が強硬な不法移民対策や対イラン軍事作戦を巡る逆風に直面する中でも、福音派を核とするMAGAの結束は固い。
 ◇紫の州
 ただ、共和党が中間選挙で接戦を制して勝利するには、戦略が必要になる。MAGAの熱狂をあおるのか、MAGA以外の有権者への働き掛けを重視するのか。
 「自分たちの原則を守った上で、党派を超えて協力できる」。11月の西部アリゾナ州知事選で共和党候補として民主党現職のケイティ・ホッブス氏に挑むアンディ・ビッグス連邦下院議員は7月17日、フェニックス近郊ギルバートで開いた集会で訴えた。MAGA派の中核議員でありながら、無党派層や穏健派共和党員も意識し、政策遂行能力を前面に押し出した。
 アリゾナ州は長く共和党の牙城で、地元の党組織は穏健派の重鎮故ジョン・マケイン上院議員の影響下にあった。だが近年は、人口流入を背景に無党派層が増加。有権者登録の内訳は、共和党員約35%、無党派約34%、民主党員約28%となっており、今では共和、民主両党のシンボルカラーの赤と青を混ぜた「パープル(紫)」州と呼ばれるようになった。
 一方で、共和党の地元組織では、2018年のマケイン氏の死などを経てMAGA派の力が拡大した。州人口の約6割を占めるマリコパ郡の共和党委員会のクレイグ・バーランド委員長は「党員の圧倒的多数はMAGAの草の根支持者だ」と断言。ビッグス氏と争うホッブス氏を「読み書きもろくにできない」とこき下ろした。
 ◇真夏の戸別訪問
 中間選挙で知事選や連邦下院選、州議会選などが行われるアリゾナ州では、「地上戦」も始まっている。その一翼を担うのが、フェニックスに本部を置き、全米規模の知名度を誇る保守系団体「ターニング・ポイントUSA(TPUSA)」だ。
 気温が33度に達した7月中旬の土曜日夕、フェニックス東郊メサのアイスクリーム店。TPUSAの地区担当の男性が店内で別の男性と合流すると、車を走らせた。数分後に着いたのは、保守色が比較的強い住宅街。2人はペットボトルを手に、戸別訪問を始めた。
 独自の資金と組織を擁するTPUSAは、共和党の地元組織とは一線を画した活動を続ける。同州の世論調査の専門家ポール・ベンツ氏はTPUSAの戦略を「保守派が多数を占める地域を見つけ、そこからより多くの支持者を投票所に向かわせようとする」と解説する。民主党に反発する有権者に投票を促す「動員」を重視した戦い方だ。
 しかし、動員偏重の選挙戦は党派間の敵意をあおり、政治的分断をさらに深めかねない。ベンツ氏は中間選挙について、ネガティブキャンペーンに終始すると予測した上で、付け加えた。「こうした戦略が将来も通用し続けるとは思えない」(フェニックス=米アリゾナ州=時事)。 
〔写真説明〕「信仰と自由連合」年次総会で演説後、聴衆を指さすトランプ米大統領=6月26日、ワシントン(AFP時事)
〔写真説明〕「信仰と自由連合」年次総会でトランプ米大統領の演説を聞く聴衆=6月26日、ワシントン(AFP時事)
〔写真説明〕集会の会場で支持者と話すアンディ・ビッグス氏(中央)=7月17日、米西部アリゾナ州ギルバート
〔写真説明〕取材に応じるクレイグ・バーランド氏=7月16日、米西部アリゾナ州チャンドラー
〔写真説明〕米保守系団体「ターニング・ポイントUSA」(TPUSA)の本部=7月17日、西部アリゾナ州フェニックス
〔写真説明〕取材に応じるポール・ベンツ氏=7月16日、米西部アリゾナ州フェニックス