【バンコク時事】タイの首都バンコクで死者33人、負傷者70人以上を出した飲食店火災は19日で発生から1週間。火災を受け、タイではナイトクラブなど娯楽施設を巡る規制の見直しを求める声が上がっている。現地メディアによると、現場の飲食店は娯楽施設として営業許可を取得しておらず、厳しい防火基準の適用対象外だった可能性が指摘されている。
火災は12日夜、バンコク北部チャトゥチャック地区の飲食店で演奏中に起きた。生存者の証言では、天井からの黒煙と炎、停電で店内が混乱に陥り、避難しようとした客が店の奥にあるトイレに殺到。警察は、犠牲者の多くが煙を吸い込んだことによる一酸化炭素中毒などで死亡したと発表した。
革新系野党・国民党の下院議員は火災後、1966年制定の娯楽施設法の見直しを提起した。現行制度では、娯楽施設は政府の指定区域内でのみ営業が認められ、耐火性の内装材や排煙設備、スプリンクラー整備、客数に応じた避難経路確保など厳しい安全基準が定められている。
一方、指定区域外では、一般的な飲食店として娯楽施設同様の営業を行う店もあり、安全基準が適用されず「抜け穴」になっていると指摘される。同議員は、ナイトクラブなどの増加を踏まえ、区域の指定権限を地方自治体に移譲し、対策を強化するよう求めた。
地元メディアによれば、飲食店で火災発生時に演奏していたバンドメンバーは警察に対し、店内では停電が頻発していたと説明。この店で約2年前から活動していたが、避難や消火の訓練は一度もしたことがないと述べた。警察は従業員ら100人以上から事情を聴き、出火原因や安全管理について捜査している。
〔写真説明〕飲食店火災があった現場で手を合わせる人々=14日、バンコク(AFP時事)