リニア容認でも課題山積=難工事、費用は11兆円に膨張

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 JR東海が整備を進めるリニア中央新幹線が、鈴木康友静岡県知事が静岡工区の着工を容認したことで動きだす。静岡工区は東京・品川―名古屋間のリニア工事における最大の難所だ。同社は早期開業を目指すが、完成までには10年以上かかる見通し。物価高騰や難工事への対応で総工事費は11兆円に膨張しており、課題は山積している。
 JR東海の丹羽俊介社長は7日、着工容認を受けて記者団の取材に応じ「一日でも早く着手できるよう鋭意準備を進めていく」と意欲を示した。
 静岡工区は当初、約10年間を予定する工事が2017年に始まる計画だった。年内に着工できた場合でも開業は36年以降にずれ込むとみられる。失った時間は大きい。
 静岡工区の問題で足踏みが続く間に事業環境も大きく変わった。建設業では人手不足が深刻化し、デフレ下で長く動かなかった物価や賃金は上昇に転じた。当初5.5兆円と計画していた工事費は、難工事への対応もあって21年に7兆円、昨年10月には11兆円へと修正を余儀なくされた。
 同社は「かなり堅めに算定している」と説明し、大きく膨れ上がった費用は「ドル箱」の東海道新幹線の営業収入や社債の発行などで賄えるという。ただ、金利のある世界が復活し、借り入れコスト増が財務を圧迫する。
 丹羽氏自身も「山梨・長野工区の実績、大井川の水資源や南アルプスの環境保全などを踏まえると、当初の想定よりも難しい工事になるのではないか」と指摘する。建築費の高騰で東京都心でも再開発の遅延や計画見直しが相次ぐなど、足元でも事業環境は厳しさを増している。費用のさらなる上振れや工事遅れの懸念はくすぶり続けそうだ。 
〔写真説明〕リニア中央新幹線静岡工区の着工容認を受けて記者団の取材に応じるJR東海の丹羽俊介社長=7日午後、名古屋市中村区