【アンカラ時事】トランプ米政権は北大西洋条約機構(NATO)について、「NATO3.0」という概念を提唱している。通常戦力による防衛は欧州が主導し、米国は核抑止力で補完する枠組みへの転換を進めるものだ。アンカラでの首脳会談では、トランプ大統領が対イラン軍事作戦に距離を置いた各国に具体策を要求するかが焦点となる。
1949年に大西洋をまたぐ軍事同盟として設立されたNATOは、ソ連や共産圏諸国の西側侵攻を防ぐことが最大の任務だった。ここまでが「NATO1.0」となる。だが、1990年代に冷戦が終結すると、欧州は軍備を縮小し、米国の軍事力に依存してきた。
こうした動きをヘグセス国防長官は「NATO2.0」と呼び、「ただ乗りの時代で、もう戻ることはない失われた年月だった」と批判する。
トランプ政権の目指す「NATO3.0」では、軍事同盟としての原点回帰に加え、通常兵器での防衛は欧州が一義的な責任を持つことになる。米国は「重要だが限定的」な支援にとどめると主張。米国の貢献は核兵器による「拡大抑止」が中心になると想定している。
ヘグセス氏が先月表明した6カ月以内の欧州駐留米軍の態勢見直しもこの方針を踏まえたものだ。ただ、ヘグセス氏は5月、ポーランドへのローテーション部隊派遣を中止しようとしたが、同国のナブロツキ大統領と親しいトランプ氏が事実上取りやめた経緯がある。一方、対イラン軍事攻撃を批判したドイツのメルツ首相に対しては「報復」として駐独米軍5000人の削減を発表した。
新概念に基づく計画がどのような形となるかは依然不透明だが、トランプ氏と各国首脳の人間関係が米軍配備に影響する可能性もある。トランプ氏はNATOに対し、「忠誠心だけが欲しい」と求めている。
〔写真説明〕ヘグセス米国防長官=6月18日、ブリュッセル(EPA時事)