対日関係の「安定」演出=地方選控え、外交手腕誇示―韓国大統領

日本の貿易量の99.6%は船舶輸送

 【安東時事】韓国の李在明大統領は19日、高市早苗首相を故郷である慶尚北道安東市に「国賓級」(大統領府)で迎え、日韓関係の安定基調を印象付けた。高支持率を維持する李政権だが、6月の統一地方選を前に、伝統的な保守地盤の慶尚道地域で外交手腕をアピールする思惑もにじむ。
 「田舎町まで来てくださり、お疲れさまでした」。李氏は会場のホテルで高市氏を出迎え、固く握手。市内のあちこちには「韓日首脳会談の安東開催を歓迎します」との横断幕がはためいた。
 李氏は、高市氏の地元・奈良を訪問した今年1月、高市氏を安東市に招待したい意向を表明。国会日程が窮屈な中でも高市氏が訪韓を決めた背景には、韓国側の強い働き掛けがあったとされる。
 念頭にあるのが、李政権初の全国規模の選挙となる統一地方選だ。政権支持率は60%台の高水準だが、保守地盤の慶尚道地域では最大野党「国民の力」との接戦が伝えられており、今回の首脳会談は保守勢力取り込みに好機と映ったようだ。
 李氏は野党時代、日韓関係改善を進めた保守系の尹錫悦前大統領の政策を「屈辱外交」と批判。一方、大統領就任後は対日協力を重視する現実路線に転換し、保守勢力からも「正直李氏の外交はうまい」(国民の力関係者)との声が漏れる。
 両首脳は会談で、エネルギー協力の強化で一致。李氏は共同記者発表で「両国が協力できる分野は無限だ」と強調した。協力関係が高みに上る中、課題として残るのは、経済や安全保障協力だ。韓国政府は日本主導の「包括的および先進的な環太平洋連携協定(CPTPP)」加入に前向きだが、焦点になるとみられる一部日本産水産物の輸入停止問題で国内の環境整備が必要だ。
 安保でも、燃料や弾薬の融通を可能にする物品役務相互提供協定(ACSA)の締結を巡り、歴史的背景から韓国側は後ろ向き。ある韓国の専門家は安保協力を「慎重に進める必要がある」との見方を示す。 
〔写真説明〕19日、韓国・安東で会談前に握手する高市早苗首相(左)と韓国の李在明大統領