アメリカの造船会社であるハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)は2026年11月3日、退役した世界初の原子力空母「エンタープライズ」が解体のためにニューポート・ニューズ造船所を曳航され出港したと発表しました。
最終的な解体に向けて移送。
アメリカの造船会社であるハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)は2026年11月3日、退役した世界初の原子力空母「エンタープライズ」が解体のためにニューポート・ニューズ造船所を曳航され出港したと発表しました。
同艦はこれからアラバマ州モービルでHIIからPAEマリタイムに引き渡され、本格的な解体作を実施することになります。
既に原子炉からの核燃料抜き取り作業は完了していますが、原子炉区画の撤去・処分が必要となるため、以降はPAEマリタイムが担当することになります。また、アンテナなども除去されているため、曳航される同艦は現役時と若干の差異が見られます。
船体は完全に解体される予定で、発生するすべての材料は適切にリサイクルまたは処分されます。特に、低レベル放射性廃棄物を含む有害物質については、適切に管理・梱包されたうえで、認可された処分施設へ安全に輸送・廃棄される計画です。作業は2030年9月までの完了を予定しています。
なお、アメリカでも原子力空母の解体はこれまで行ったことがなく、同艦は史上初の解体される原子力空母になります。
「エンタープライズ」は、世界初の原子力空母として1961年に就役し、「ビッグE(Big E)」の愛称で親しまれました。冷戦期から、9.11同時多発テロ事件後の「不朽の自由作戦」に至るまで、数多くの軍事作戦に参加しています。
2012年に退役しましたが、8基の原子炉を搭載していることから、その処分方法の決定には長い時間を要しました。また、アメリカ海軍には原子力空母のような大型艦を数年単位で解体できる専用設備が存在しないため、「エンタープライズ」は長期間にわたりバージニア州ニューポートニューズ造船所に係留されていました。
当初、海軍による試算では、解体費用は最低でも7億ドル、最大で14億ドルに達すると見積もられていました。そのため、海軍は民間企業の技術や設備を活用して、安全かつ効率的に解体する方針を採用しました。
なおUSNIニュースによると、同艦の解体着手までに投入された費用は、初期の原子炉停止、核燃料関連処置、退役準備などに約9億200万ドル。また、退役艦の警備・監視、船体の腐食防止、安全管理、放射性物質管理などの保管費用として約1億1100万ドルが費やされ、合計で約10億1300万ドル(約1600億円)に達したとされています。
【ああ曳かれていく…】これが、解体に向かう原子力空母です(動画)