四国が夢みる「左下ぐるり高速」どこまでできた? 70km超え“未開通部” 事業費が大幅増額に

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四国の「左下」にあたる高速道路網の未開通部をつなぐ国道56号バイパス群の事業再評価で、事業費が大きく増額となりました。

“想定外”続出で719億円増

 国土交通省 四国地方整備局は2026年10月30日、高知県と愛媛県で建設を進めている国道56号の複数のバイパス道路「窪川佐賀道路」「佐賀大方道路」「大方四万十道路」「宿毛内海道路」「津島道路」の5事業について事業再評価を行い、進捗を共有しました。

 この区間は四国の南西端にあたる高速道路の未開通部、高知道の四万十町中央ICから、宿毛市を経て愛媛県宇和島市の松山道 津島岩松ICまでをつなぐ区間です。途中、片坂バイパス(6.2km、窪川佐賀道路の一部)や中村宿毛道路(23.2km)など、細切れに開通済みのところもあります。国土交通省が「四国8の字ネットワーク」と呼ぶ高規格道路網の一部です。

 事業中区間を合計した延長は72.6km(片坂バイパス含む)にのぼります。最も進んでいるのは高知側末端の窪川佐賀道路(11.2km)で、用地は100%取得済み、事業全体でも90%まで進捗しています(進捗率は2025年度末現在、以下同)。次が愛媛側末端の津島道路(10.3km)で、用地98%、全体70%といったところ。

 その次が高知側で窪川佐賀道路に続く佐賀大方道路(14.0km)で、用地15%、全体21%ですが、大方四万十道路と宿毛内海道路は用地2%未満となっています。

 ただ、今回は全ての工区で事業費が増大し、計719億円もの増額となりました。特に津島道路では264億円、佐賀大方道路では163億円もの増額となっています。

 事業費増額の大きな要因は2つあり、ひとつは建設資材費や労務単価の上昇です。これによる増額分は約281億円と試算されています。

 もうひとつの要因は、各事業現場における“想定外”の事態です。たとえば佐賀大方道路では、液状化の恐れがある軟弱な地盤が見つかったため、当初計画していた盛土構造から、より建設費のかかる橋梁構造への変更を余儀なくされています。最も増額幅の大きい津島道路では、掘削した土から自然由来の重金属が環境基準値を超えて検出。この対策費用だけで約153億円が追加で必要になったといいます。

 こうした事業費の増大に対し、これから着工する宿毛内海道路では、縦断計画を見直すことで、切土区間で土を削る量を抑え、盛土量を増加させるなどして、同事業内での土の使い方を効率化してコスト縮減と事業スピードの向上を図るということです。

 これらの道路は南海トラフ地震発生時に津波浸水が想定される現道の代替路「命の道」として位置づけられており、地元自治体からも早期開通を望む声が強く上がっています。国はコスト縮減に努めながら、引き続き事業を継続する方針としています。