政府は、米中間選挙で野党民主党が上下両院で過半数を握ることが確実となった結果を受けても、日米関税交渉で合意した最大5500億ドル(約87兆円)の対米投融資を継続する方針だ。米国の高関税措置は大統領令に基づいており、上下両院の構成が大きく変わっても、トランプ大統領に関税の上げ下げに関する権限は残るからだ。
「日本にも裨益(ひえき)すると説明してきた。それが変わったわけではない」。米中間選の結果を受けて、交渉筋は淡々と語った。日本政府は対米投融資について、トランプ大統領の予測不能な行動の影響を最小限に抑える切り札とするとともに、経済安全保障分野の協力深化や日本企業の海外展開促進の弾みとしたい考えだ。
昨年の日米関税交渉では、自動車への関税や広範な品目への相互関税の上限税率を15%に抑えることで合意。赤沢亮正経済産業相は事あるごとに「毎年5兆円超課されるはずであった関税を2兆円超削減した」と強調している。
相互関税に違憲判決が下された後も、米政権は代替となる高関税措置の適用に当たっては、合意を踏まえて日本への配慮を維持してきた。日本政府も合意に基づき対米投融資のプロジェクト選定作業を進めることで、引き続き追加関税のリスクを回避したい考えだ。
10月に第3弾として公表された米半導体受託生産大手の工場建設事業では、東京エレクトロンが日本が優位を保つ製造装置を供給。ルネサスエレクトロニクスが、同工場で生産される自動車向けなどの半導体を調達する方向だ。米産業にとっての「不可欠性」を確保するとともに、半導体の安定調達にもつなげ経済安保を強化する。
米国との関税交渉を経て各国が約束した対米投融資で、日本は進捗(しんちょく)率が2割を超え、他国に先行する。民主、共和両党とも内向き姿勢を強める米国をつなぎ留めるためにも、日本企業の海外収益拡大や重要物資のサプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化につながる案件の構築を続ける必要がありそうだ。
〔写真説明〕今年3月に米ワシントンのホワイトハウスで行われた日米首脳会談に臨む高市早苗首相(中央左)とトランプ米大統領(中央右)。(AFP時事)