全国の自治体が発行し人気となっている「マンホールカード」を巡り、収集家のマナー違反が相次いでいる。発行枚数は累計約2600万枚に上るが、職員への暴言や路上駐車によるトラブルが後を絶たず、やむなく終了した自治体も出ている。
カードは2016年から、下水道事業のPRや観光振興のため、自治体が予算を計上して作成している。名刺大で、表にマンホール写真と位置情報、裏にデザインの由来を掲載。道の駅や観光施設などで1人につき無料で1枚配布している。人気に火が付き、1日で約4000枚が配布されることもあるという。
広島県東広島市は7月からご当地名物「東広島焼き」をデザインしたカードを配布していたが、9月末で一時休止した。カードを管理する下水道管理課長の尾和宏寿さん(56)は理由について「配布場所の観光案内所前の狭い道に駐車され、地元住民が通行できなかったり、観光案内中の職員が『早くしろ』と暴言を吐かれたりした」と明かす。
知床半島や動植物のイラストが描かれたカードを道の駅で配布していた北海道斜里町は、収集家からのクレームやマナーの悪さを理由に昨年2月で終了した。水道課長の乙間浩二さん(52)は「人気ですぐ在庫がなくなってしまい、職員が受け取れなかった観光客から怒鳴られるなどした。厚意で配ってもらっていたので、これ以上は難しいと判断した」と落胆する。「配布時に混乱がなければ増刷も考えていたが、今後の予定は一切考えていない」と強調した。
自治体をサポートするマンホールカード振興財団によると、転売目的だったり服装を変えて何度も受け取ったりするなどの問題も出ている。一時休止した東広島市は新たな配布場所を探しているが、先の尾和さんは「業務に支障が出ないようマナーを守ってほしい」と訴える。
〔写真説明〕観光案内所でマンホールカード配布終了を案内する広島県東広島市の貼り紙=10月10日、広島県東広島市
〔写真説明〕配布終了した北海道斜里町のマンホールカード(同町提供)