「自衛隊、国民の信頼が重要」=瑞宝大綬章の河野元統幕長―秋の叙勲

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 「自衛隊は国民の信頼が重要だと自覚しないといけない」。瑞宝大綬章に選ばれた元統合幕僚長の河野克俊氏(71)は、42年間の自衛官としての歩みを振り返り、こう強調した。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、自衛隊の役割強化や憲法9条見直しを訴えた。
 自衛隊が発足した1954年、旧海軍出身の父の赴任先だった北海道で生まれた。77年に防衛大を卒業後、海上自衛隊に入隊。自衛艦隊司令官、海上幕僚長を経て、2014年に第5代統合幕僚長に就任した。安倍晋三首相(当時)から厚い信頼を得て政権の安保政策の中核を担った。定年は異例の3回延長となり、19年の退官まで統幕長を歴代最長の4年半にわたり務めた。
 自衛隊の大きな転換点として挙げたのが、90年の湾岸戦争だ。日本は巨額の資金を拠出したものの自衛隊派遣などの人的貢献がなかったとして、国際社会から批判を浴びた。戦争終結後の91年にペルシャ湾に掃海艇を派遣。自衛隊の海外での活動が本格化する契機となった。
 「『動けない自衛隊』から『動ける自衛隊』に変わった。一歩ずつ任務をこなしてきた結果、国民の信頼も高まってきた」。河野氏はこう語った。
 統幕長在任中、最も緊張感を持って対応したのが北朝鮮問題だった。北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返し、核・ミサイル開発は進展した。現在はウクライナ侵攻を続けるロシアとも軍事関係を深めている。
 河野氏は「米国の関心が(東アジア以外の)他地域に移り、北朝鮮を放置して時間を与えてしまった。日米の軍事的圧力は効いていたはずで、もう一つ二つ手を打っていれば違う展開になったかもしれない」と悔やむ。
 日米同盟の在り方も大きな課題として残る。日米安保条約について、米国が日本防衛の義務を負う一方、日本は米軍に基地を提供するという非対称な関係だとして「世界的に例がない」と指摘。中国の軍事的脅威が高まる中、米国にとっても日本の重要性は増していると説明した。「ある程度、相互防衛の形を進めれば、より信頼性のある同盟に変わるのではないか」と唱えた。
 自衛隊と憲法9条の問題も避けては通れない。河野氏は「戦後レジームの矛盾を一番抱えている組織が自衛隊だ」と強調。戦力不保持を定めた9条2項の見直しが必要だと主張した。 
〔写真説明〕インタビューに答える河野克俊元統合幕僚長=東京都港区