“異色の自衛隊機”わずか5分の飛行にファン注目! かつては“公然の秘密”だった民間機ベースの機体

頻発する内水氾濫を防ぐには?

2026年11月3日の入間航空祭で、日本で最後まで飛び続けるYS-11が初めて展示飛行を披露しました。わずか5分ほどの飛行でしたが、実はこの機体、かつては存在そのものが公式に認められていなかった特殊な航空機です。

日本最後のYS-11が航空祭に初登場! わずか5分の展示飛行

2026年11月3日、埼玉県の航空自衛隊入間基地で開催された「入間航空祭」で、珍しい航空機が初めて展示飛行を行いました。それは「YS-11EB」と呼ばれる電波情報収集機です。

 当日のプログラムでは午前9時28分から33分までの約5分間という短い飛行でしたが、航空ファンを中心に大きな注目を集めました。なぜ、この機体がそれほど注目されたのでしょうか。

 YS-11といえば、日本が戦後初めて開発した国産旅客機として知られています。1962年に初飛行した双発のプロペラ機で、かつては日本各地のローカル路線などで活躍していました。

 実は、このYS-11は民間航空会社だけでなく、自衛隊でも使用されていました。航空自衛隊では人員や物資を輸送する輸送機のほか、航空保安施設などを点検する飛行点検機、電子戦の訓練を支援する電子戦訓練機など、さまざまな用途に改造された機体が運用されていたのです。

 しかし、機体の老朽化などによって民間航空会社のYS-11は2006年に国内の定期旅客路線から引退。航空自衛隊でも、輸送機として運用していたYS-11Pが2017年に、飛行点検機のYS-11FCが2021年に、電子戦訓練機のYS-11EAが2025年に、それぞれ退役しています。

 その結果、現在も日本で飛行を続けている最後のYS-11となったのが、今回の航空祭に登場したYS-11EBなのです。

 ただし、この機体が航空ファンから注目される理由は、単に最後まで生き残ったYS-11だからというだけではありません。実は、その特殊な任務ゆえに、かつては機体の存在そのものが公式には認められていなかった航空機でもあるのです。

かつては「公然の秘密」だった特殊な航空機

 YS-11EBは、航空自衛隊の電子飛行測定隊が運用する電波情報収集機です。その任務は、周辺空域などで発せられるさまざまな電波を収集し、分析するための情報を得ることにあります。

 現代の軍事作戦では、レーダーや無線通信などに使われる電波の情報が非常に重要です。例えば、相手のレーダーが発する電波の特徴を把握できれば、そのレーダーの種類や用途を推定でき、電子妨害や脅威への対処にも役立ちます。

 こうした情報収集は、平時から継続して行うことが重要ですが、当然ながら収集能力や具体的な活動内容は軍事機密に直結します。そのため、電波情報収集機は一般の航空機と比べて、情報公開が制限される傾向にあります。

 実はYS-11EBも、かつては航空自衛隊がその存在自体を公式には認めていなかった機体でした。入間基地には、C-1輸送機を改造したEC-1電子戦訓練機なども配備されていましたが、こうした特殊な航空機の詳細は長らく秘密のベールに包まれていたのです。

 もちろん、実際に飛行している以上、基地周辺でその姿を見ることはできました。そのため、基地周辺の住民や航空ファンの間では以前から存在が知られていましたが、航空自衛隊は長らくその存在を公にしておらず、いわば「公然の秘密」のような機体だったのです。

 しかし、近年は状況が変わりつつあります。2020年にはC-2輸送機をベースに開発された新しい電波情報収集機「RC-2」の配備が始まり、2025年にはEC-1も退役しました。防衛省もRC-2の役割や電子戦能力の強化について、公式資料で説明するようになっています。
 もちろん、現在でも具体的な情報収集能力や活動内容が公開されているわけではありません。それでも、かつては存在すら公表されなかった機体が、一般向けの航空祭で堂々と展示飛行を披露するようになったことは、情報公開のあり方が変わったことを象徴する出来事といえるでしょう。

 最後まで飛び続ける国産旅客機YS-11という歴史的な価値に加え、かつては「公然の秘密」だった特殊な航空機が、一般の観客の前を飛行する。今回のYS-11EBの展示飛行は、以前からその存在を知る航空ファンにとって、感慨深いものだったのではないでしょうか。