中島裕翔、人違いでテロ組織に誘拐されるアメリカ人銀行員役 主演舞台「見えざる手」新国立劇場で上演

”滝のように降る雨”増加傾向に

俳優の中島裕翔が主演を務める舞台『見えざる手』が、2027年4月2日より新国立劇場小劇場にて上演されることが決定した。

◆中島裕翔、主演舞台「見えざる手」上演決定

本作は『ディスグレイスト』でピュリッツァー賞を受賞したアメリカの劇作家アヤド・アクタル氏による、資本主義と信仰、暴力と倫理が交錯する密室劇。2026年9月より新たに就任した新国立劇場演劇芸術監督の上村聡史氏が掲げる「現代的、国際的、批評的」な作品づくりの第2弾として、上村氏自身の演出で届ける。

物語は、パキスタンでテロ組織に誘拐されたアメリカ人銀行家ニック・ブライトが、自らの身代金を稼ぐために市場取引を持ちかけるという意外な提案から始まる。彼の金融知識はやがて組織に巨額の富をもたらすが、その過程で理念や信仰が揺らぎ、金に支配され欲望がむき出しになる人間の姿が、張りつめた緊張感のなかで展開される。

◆中島裕翔、濃厚な密室劇に挑む

主演は中島。演出の上村聡史とは『みんな鳥になって』(2025年上演)以来、2度目のタッグとなる。上司と間違われイスラム系テロ組織に誘拐されるアメリカ人銀行員のニック・ブライト役を演じる。ニックを誘拐したテログループの理想に燃える若き組織員、バシール役には大鶴佐助。バシールの手下で監視役のダールには田中亨。そして組織のカリスマ的リーダー、イマーム・サリーム役には佐藤誓が決定し、実力派4人が揃った。

本作は、2012年に一幕劇として上演され、2014年には二幕構成に拡大されてオフ・ブロードウェイで初演。以降、2015年オビー賞(劇作部門)、ジョン・ガスナー劇作家賞を受賞、2016年イブニング・スタンダード賞および2017年ローレンス・オリヴィエ賞にノミネートされるなど、英米で多くの賞賛を浴びてきた。

タイトルの「見えざる手」とは、“各個人が自己の利益を追求することで、意図せず社会全体の利益や調和がもたらされる”という、経済学の父、アダム・スミスが唱えた概念。本作ではその“見えない力”が、皮肉にも信仰や倫理までも飲み込む冷徹な存在として描かれる。資本主義の暴力性と人間の欲望を鋭く描く、現代の寓話ともいえる本作。緻密な戯曲の読み解きと、俳優との丁寧な対話、巧みな空間演出に定評がある上村聡史の演出と、実力派キャスト4人が織りなす、緊迫の“命を賭けたマネーゲーム”となる。(modelpress編集部)

◆中島裕翔(ニック・ブライト役)コメント

密室での頭脳戦あり心理戦ありの、命を賭けたクライムサスペンスです。上村さんとまたご一緒できて本当に嬉しいです!前回ご一緒したときは、最後に本当の自分の出自を知り、今まで信じてきたアイデンティティと混在する、ある意味量子論の二重性のような役でした。上村さんの演出で人間特有のアンビバレントさや、さらには今作品での資本や自由の暴力性、人間の欲望がどう表現されるのかがとても楽しみです。監禁されて常に死と隣り合わせという大変な役なのに、今からワクワクしています。誓さんとも『セールスマンの死』でご一緒して、またすぐに違う役柄で共演できるなんてとても楽しみです。敵対する役どころですがお手柔らかにお願いします(笑)。嘘です、ビシビシきてください!

人違いで誘拐された銀行員が、金融の知識を駆使して抜け出そうと孤軍奮闘します。頼れるのはPC1台。富、知識、権力によって人が変わっていく様。自由を与えられた時に人はどうなるのか。自分は何によって定義されるのか。自分が信じていたものはなんだったのか。様々な要素が密室という空間を飛び出して幅広く描かれていきます。是非劇場にお越しください。

◆大鶴佐助(バシール役)

今回お話を頂き、戯曲を読み人間の欲や動物的本能がとても生っぽく描かれている作品だなと思いました。ストックホルム症候群なのかリマ症候群なのか、打算からの親しみも本心に変化するし、憎しみも好意に変化する、相手への印象や人間関係は極限の状況下では相当アンバランスなものになるのだなと思いました。自分は新国立劇場に立つのは今回が初めてですし、演出の上村さんも初めましてなので、稽古場でこの作品がどう立ち上がっていくのか今からとても楽しみです。男性4人のみの芝居なので、無骨なモノになるのか、洗練されたモノになるのかわかりませんが、劇場に足をお運びいただければ幸いです。

◆田中亨(ダール役)

上村さんとは『デカローグ』で初めてご一緒させていただきましたが、台本を読んだ印象よりも自由で開放的で、作品作りする上での遊び心や大切なことを多く学びました。今回『見えざる手』の台本を読み、登場人物の滑稽さや可笑しさに愛おしさを感じるのと同時に、演じる難しさも感じています。ワクワクと不安で身震いしていますが、一方的に作品を観ていて尊敬する素敵なキャストの先輩方、スタッフの方々と共に精一杯取り組んでいけたらと思います。緊張感ある密室劇です。ぜひ覗きにいらしてくださいませ。よろしくお願いします。

◆佐藤誓(イマーム・サリーム役)

演出の上村さんへの10年以上に渡るラブコールが叶い、裕翔くん、佐助くんとの再共演、待ち望んでいた亨くんとの初共演、大変嬉しいです。『見えざる手』はアダム・スミスの言葉として記憶の彼方にありましたが、経済学は全くの不得意分野なので、専門用語担当ではなくて少しホッとしていますが、カリスマ性を持ちながら信仰と資本主義の間で揺れ動くテロ組織のリーダーというなかなか難しい役どころです。海外戯曲に取り組む時の人種、文化、信仰の違いというハードルがイスラム圏の作品では一層高く感じます。台詞を肚に落とし込んで発することが今回のチャレンジです。信仰は資本主義に勝てるのか?濃密なサスペンスを新国立小劇場で是非ご一緒に体験してください。

◆上村聡史(演出)

監禁された密室と、日々チャートが蠢く市場経済。一見すると対極にあるような2つの世界ですが、本作『見えざる手』ではこれらがスリリングに連結し、恐ろしい様相を帯びていきます。昨今、市場への参入が加速する日本において、決して他人事ではない衝撃作となるはずです。以前もご一緒し、厚い信頼を寄せる中島裕翔さん、田中亨さんとの再びの創作と、今回初めてご一緒する大鶴佐助さん、佐藤誓さんとの新たな出会いにも大きな期待を寄せています。この俳優たち4人が紡ぐ緊迫感と、互いの思惑が交錯する対話の行く末が、世界の均衡を崩すことになるその瞬間を、ぜひ劇場で目撃してください。

◆あらすじ

パキスタンのとある監禁部屋。アメリカ人銀行員のニック・ブライト(中島)は、上司と間違われイスラム系テロ組織に誘拐される。要求された身代金は1,000万ドル。政府も銀行も動かない孤立無援の中で、彼は組織にある“取引”を持ちかける。それは、自らの金融知識を使って市場で資金を稼ぎ出すことだった。

ニックと対峙するのは、理想に燃える若き組織員バシール(大鶴)、その手下で監視役のダール(田中)、そして組織を率いるイマーム・サリーム(佐藤)。ニックと彼らの間に築かれた金融取引のシステムは、やがて組織に富をもたらすと同時に、個人の信念と人間関係の均衡を崩し、蝕んでいくのだった。資本の力が信仰を揺るがし、理念が数字に飲み込まれるとき、誰が操る者で、誰が操られる者となるのか。命と信仰を賭けたマネーゲームの果てに現れる「見えざる手」とは何か、そしてニックは「自由」を取り戻すことができるのか。