民主新星、「赤い州」米南部テキサスで勢い=共和トランプ派、危機感あおる―上院過半数へ天王山・中間選挙

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 赤をシンボル色とする米与党共和党の牙城「赤い州」の代表格、南部テキサス州が、中間選挙の「天王山」と目される激戦の舞台に転じている。上院選の野党民主党候補ジェームズ・タラリコ州下院議員(37)が、共和党のケン・パクストン州司法長官(63)をしのぐ勢いで支持を拡大。民主党は同州の上院選で38年ぶりとなる勝利を引き寄せ、上院の過半数奪取につなげたい考えだ。
 ◇原点は「教室」
 中部サンアントニオ中心部のヒスパニック(中南米系)市民集住地区に、今年に入り学区の財政難で閉校した中学校がある。「教室での経験」を政治活動の原点とするタラリコ氏が、教員養成・派遣に当たる非営利団体を通じ2011年から2年間、教員として勤務した学校だ。
 同団体幹部だったローラ・ルナ氏(43)は、当時大学生だったタラリコ氏の選考面接を担当した。同氏が模擬授業で三本脚の椅子を使い、「脚がそろっていなければ倒れてしまう。三権がそれぞれ強固で、連携していく必要がある」と説明したことを覚えている。「いつか選挙で選ばれる公職者になると思った。そうしたカリスマ性があった」と振り返る。
 ◇ヒスパニック奪還課題
 キリスト教の神学生でもあり、保守層に響く聖書の言葉を引用して政治を語るタラリコ氏の強みは、「党派を超えて訴え掛ける」(ルナ氏)伝達力だ。タラリコ氏は、民主党幹部の応援を受けずに地域密着の選挙戦を展開。24年大統領選で景気回復に期待してトランプ大統領に投票したヒスパニック有権者の奪還を期す。
 「民主党員でも共和党員でもなく、テキサス州民として団結し、最も腐敗した政治家を打ち負かせば、腐敗した制度全体も倒すことができる」。タラリコ氏は10月25日、ヒスパニックが住民の約9割を占める州南部の国境の街ウェスラコで開かれた集会で、献金者への便宜供与などを巡り弾劾訴追されたパクストン氏(弾劾裁判で無罪)を批判した。
 大学生のフェイス・ゴンザレスさん(24)は「タラリコが民主党員だから票を投じるというわけではない」と説明。同行していた保険販売員フアン・コントレラスさん(23)が「彼自身、自分がどの政党に属しているかは関係ないと言っている。そういうところが気に入っているんだ」と補った。
 ◇穏健保守層の離反
 守勢に回るパクストン氏が頼むのは、「外」からの支援だ。共和党は9月に党大会をダラスで開催。大会後もトランプ氏が応援演説で計3回、テキサス入りした。トランプ氏に近い富豪イーロン・マスク氏も、関連政治団体を通じ2億ドル(約315億円)近い資金を投入した。
 「この選挙戦で、何年にもわたって誰が上院を支配するかが決まる可能性がある」。パクストン氏は23日、サンアントニオ近郊のダンスホールで開いた集会でタラリコ氏を「過激派」だと断じ、危機感をあおった。
 聴衆には、年配のトランプ氏支持者の姿が目立つ。無職のネーサン・ケーンさん(66)は「良い仕事をしている」とトランプ氏を評価し、「民主党が体現するものが嫌いだ」と話した。
 ただ、トランプ氏の後ろ盾を得て予備選で伝統的保守派の現職ジョン・コーニン氏を退け、候補の座を射止めたパクストン氏には、穏健保守層の離反という不安が付きまとう。ブッシュ(子)元大統領の弟ニール氏は、タラリコ氏支持を表明。元政府職員ジャック・ニューネスさん(63)は集会の場で、「コーニンだったら勝利は確実なはずだった」と漏らした。 
〔写真説明〕ヒスパニック(中南米系)の支持者らを前に演説するジェームズ・タラリコ氏=25日、米南部テキサス州ウェスラコ
〔写真説明〕閉校となったタラリコ氏の勤務先だった中学校=23日、米南部テキサス州サンアントニオ
〔写真説明〕インタビューに応じるローラ・ルナ氏=23日、米南部テキサス州サンアントニオ
〔写真説明〕演説するケン・パクストン氏=23日、米南部テキサス州サンアントニオ近郊