築わずか“39年”!? 激レア「茅葺き屋根の駅」に隠された“まさかの事実” かつては「日本唯一」と称されるも

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福島県の湯野上温泉駅には、全国でも珍しい茅葺き屋根の駅舎があります。古民家風ですが、実は昭和末期の築。大内宿の玄関口として生まれた駅は、地域住民の交流の場にもなっています。

「昭和生まれ」の茅葺き駅舎

 福島県下郷町にある会津鉄道会津線の湯野上温泉駅は、国内でも珍しい茅葺き屋根の駅舎が特徴です。周囲の山並みと相まって、まるで昔からそこにある古民家のような外観をしています。

 ところが、この駅舎が完成したのは1987(昭和62)年12月のこと。江戸時代から残る建物を駅に転用したわけではなく、昭和の終わりに、あえて茅葺き屋根の駅舎として改築されたのです。

 駅自体の歴史はさらに古く、1932(昭和7)年に「湯野上駅」として開業しました。現在の駅舎ができた1987年は、旧国鉄会津線をJR東日本から引き継いだ第三セクターの会津鉄道が、7月に営業を始めた年でもあります。

 湯野上温泉駅は、かつて「日本唯一の茅葺き屋根の駅舎」と紹介されたこともありました。現在は大分県の豊後中村駅にも茅葺き屋根の駅舎がありますが、列車と茅葺き屋根が並ぶ光景は、今もこの駅を訪れる楽しみのひとつです。

 新しい駅舎の意匠には、近くにある大内宿の町並みが取り入れられました。湯野上温泉駅は、その大内宿や湯野上温泉への玄関口になっています。

 江戸時代の宿場町の面影を今に残す大内宿は、1981(昭和56)年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれ、観光地として注目を集めるようになりました。

 さらに鉄道の動きを見ると、1986(昭和61)年には野岩鉄道の会津鬼怒川線が開業。翌年の会津鉄道発足と合わせ、首都圏方面から会津地方を訪れるルートが整った時期でした。大内宿を思わせる駅舎は、列車を降りた時点から地域の魅力を感じられる「玄関口」となったのです。

観光客と地元民が集う場所

 湯野上温泉駅舎の中には囲炉裏があり、そばには座敷のようにくつろげる共有スペースが設けられています。冬にはこの囲炉裏に実際に火が入るとのこと。古民家のような外観だけでなく、内部にもゆっくりと過ごせる空間が広がっているのです。

 筆者が訪れた日は、お座敷・トロッコ・展望の各席を備えた観光列車「お座トロ展望列車」は運休日でした。それでも、列車を利用する地元の人の姿が多く見られました。観光地への入口でありながら、地域の交通を支える大切な駅でもあることがうかがえます。

 また、駅舎内では観光客向けの土産物のほかに、地元の野菜や椎茸なども売られていました。囲炉裏のそばでは地元の人たちが挨拶を交わし、談笑する姿も見られます。観光客を迎える駅である一方、地域の人にとっては日常的な交流の場でもあるのです。

 駅舎には売店や観光案内の機能があり、隣には無料で利用できる足湯「親子地蔵の湯」も設置されています。入場券を買えばホームで駅舎や列車を撮影することも可能です。列車に乗るだけでなく、写真を撮ったり足湯でひと息ついたりと、駅そのものを楽しめます。

 大内宿や温泉へ向かう旅人を迎えながら、地域の人が買い物や会話のために立ち寄る――。湯野上温泉駅は、さながらコミュニティーセンターのような役割も担っているようでした。