小惑星・火星探査の出発点にも=生命の起源探る旅―ノーベル化学賞の「そあい反応」

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 地球上の生命は、左右2種類ある立体構造の分子のうち、なぜ一方だけを使っているのか。この謎に迫る手掛かりを示し、ノーベル化学賞の受賞が決まった東京理科大のそあい憲三名誉教授(76)の発見は、探査機「はやぶさ2」に代表される小惑星などで生命の起源や痕跡を調べる探査の出発点にもなっている。
 生命を構成するアミノ酸などの有機分子には、左手と右手のような対になる関係の「鏡像異性体」がある。地球の生命が用いるのはどちらか一方だけで、その「偏り」が生まれる仕組みは長年の謎だった。そあいさんはごくわずかな左右差が増殖し、どちらか一方に偏る「不斉自己触媒反応」を発見。こうしたことが自然界で生じ得ることを示し、「そあい反応」と呼ばれるようになった。
 では、それはどこで起きたのか。はやぶさ2が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の砂から検出されたアミノ酸などを研究する海洋研究開発機構の高野淑識・物質地球科学研究部門長は「その答えがりゅうぐうにあるのではないかと仮説を立て、ミッションに挑んだ」と話す。
 しかし、りゅうぐうでも、米探査機が小惑星「ベンヌ」から持ち帰った試料からも偏りは見つからなかった。高野さんは「いまだにその起源は謎に包まれているのが現状だ」と指摘。今月打ち上げられる日本の火星衛星探査計画「MMX」でも試料を持ち帰る予定で「地球に近い火星圏での右と左はどうかという答えが分かる」と期待を寄せる。
 高野さんは「自然界のどこかでそあい反応が起きていたから、私たちの地球生命がある。その場所を探すのがわれわれの役目だ」と話した。