1分で11万円が消失!? F-15戦闘機の驚くべき燃費「8分半で燃料空っぽ」のカラクリとは

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日本の空を守る航空自衛隊の戦闘機。いざスクランブル発進となれば、私たちの想像を絶するスピードとパワーを発揮しますが、そのぶん“燃費”も規格外です。「1分間で11万円の燃料が消える」とも言われる大食いっぷりとは。

アフターバーナー全開なら「8分半」で空っぽに!?

 航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)したというニュースを、ときどき耳にします。日本の空を守る戦闘機ですが、飛び立つたびに、私たちの想像をはるかに超える量の燃料が消えていきます。

 航空自衛隊の主力戦闘機のひとつ、F-15J「イーグル」を例にとってみましょう。「乗りものニュース」の過去記事で試算したところ、F-15Jの機内燃料はおおよそ7800リットル。ドラム缶に換算すると約39本分にあたります。一般的な乗用車の燃料タンクを50リットル前後とすると、その150倍以上という膨大な量です。

 ところが、この大量の燃料も、あっという間に底をつくことがあります。それが「アフターバーナー」を全開にしたときです。

 F100系列エンジンの公開データをもとに計算すると、F-15はアフターバーナー全開時に1秒あたり約15.5リットルの燃料を消費します。単純計算では、機内燃料が満タンでも約8分半で燃やし尽くしてしまうのです。

 燃料価格を灯油1リットルあたり120円と仮定した場合、アフターバーナー全開時には1秒で約1860円分、1分で11万円を超える燃料が消える計算になります。まさに“万札を燃やして飛ぶ”と表現したくなるほどの凄まじい燃料消費です。

パワーと引き換えの“燃費” その正体とは

 なぜ、ここまで激しく燃料を使うのでしょうか。その秘密は、アフターバーナーという仕組みそのものにあります。

 ジェットエンジンは、空気を吸い込んで圧縮し、燃料を混ぜて燃やすことで前へ進む力を生みます。アフターバーナーは、エンジンの排気にさらに燃料を噴射して燃やし、推力を上乗せする装置です。急加速や上昇など、大きなパワーが必要な場面で使われます。

 ただし、この“追い焚き”は燃焼の効率が悪く、得られるパワーのわりに大量の燃料を必要とします。アフターバーナーを使って轟音とともに急上昇する場面は、文字通り燃料を一気に燃やしている瞬間なのです。

 もちろん、戦闘機が常にアフターバーナーを使っているわけではありません。普段の巡航では燃費を抑えて飛ぶため、運用条件によっては数時間にわたって空にとどまることもできます。

 さらに、F-15が「増槽(ぞうそう)」と呼ばれる外付けタンクを3本積んだときの総燃料量は、機内燃料とあわせて約1万4500~1万4600リットルにも達します。これは一般的な容量200リットルのドラム缶で73本分にもなります。

旅客機より大メシ喰らい? でも燃費が悪いといえないワケ

 では、同じ空を飛ぶ旅客機と比べるとどうなのでしょうか。大型旅客機は1時間あたり数千リットル規模の燃料を消費するため、数字だけ見れば戦闘機より「大食い」に思えます。しかし旅客機は、数百人もの乗客を一度に運びます。

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)の公式Webサイトのコラムでは、ボーイング787の燃費を「1人を1km運ぶ」という「旅客キロ」で計算した試算が紹介されています。それによると、B787は燃料1リットルあたり約37~38人キロとなり、条件をそろえて考えると「燃費のよいハイブリッド乗用車に5人が乗った場合とほぼ同等の効率」になるという結果が示されています。

 一方の戦闘機は、わずか1人か2人のパイロットを乗せ、ものすごいパワーで飛びます。人を安く運ぶためではなく、戦うために最高の性能を発揮することが第一の目的だからです。燃費が悪いのは、いわばその役割の裏返しといえるでしょう。

 その“コスト”は燃料だけにとどまりません。例えば、国産戦闘機F-2については、防衛省の公開資料などをもとにした試算で、購入費、燃料費、整備費、部品交換、地上支援、人件費などを含めた「1飛行時間あたりの経費」が約300万円になるとされています。

 戦闘機が短い時間で大量の燃料を使うのは、いざというときに国の空を守るための高い性能を備えているからです。その大メシ喰らいぶりは、国防という役割と切り離せない「必要なコスト」とも表現できるのかもしれません。