【「Tシャツが乾くまで」蒼井優インタビュー】“バツ4”咲子が抱く充への思い語る 最終話の見どころは充の表情「たぶんすぐ分かると思います」

クレーンゲーム景品の変化に注目

TBSでは、毎週金曜よる10時から蒼井優主演の金曜ドラマ『Tシャツが乾くまで』を放送中。最終話の放送を前に、蒼井にインタビューを実施した。

◆「Tシャツが乾くまで」主演・蒼井優にインタビュー

本作は、脚本家・生方美久による完全オリジナルストーリー。とある事故がきっかけで、当たり前に続いていくと思っていた幸せな日常が、突如崩れ去ってしまった二組の夫婦の喪失から始まる“愛”と“秘密”を描く。

充(松山ケンイチ)に“失踪癖”があることが分かった一方で、第9話では咲子(蒼井)に離婚歴があり、それも“バツ4”であることが明かされた。互いの過去を理解し、夫婦としてまた普通に暮らすことを選んだ2人だったが、相手に気を使いながらの生活は以前のような楽しいものではなかった。頑張ることに疲れた咲子は、洗濯機の乾燥フィルターが破れたと同時に、充に別れを提案し…。

物語終盤、驚きの“秘密”で視聴者をザワつかせた咲子。そんな彼女を演じる蒼井に撮影全体を振り返ってもらった。本作は、蒼井にとってどんな作品になったのか。(modelpress編集部)

◆蒼井優「これ以上はない」と思わされた生方脚本

― 放送のたびに大きな話題を呼んでいますが、視聴者の声はどう届いていましたか?

蒼井:(地上波連続ドラマの主演をした)18年前は独身で、撮影の間はドラマの撮影現場と家の往復だったのですが、今は子育てをしながらお仕事させていただいているので、街に出ることが多いんです。よく「さっちゃん(咲子)、応援しているよ」と声をかけていただきます。すごくうれしい半面、咲子の大元を知っている身としては、「(第9話の咲子を観て)どんな気持ちになるんだろう…」と、少しドキドキもしていました(笑)。

私自身はSNSをやっていないのですが、撮影現場でスタッフさんから「SNSでこんな反応があったよ」「知り合いはこう言っていたよ」など共有してもらっていました。ドラマを観てくださっている方たちと、作っている側が循環しているといいますか、皆さんと一緒に作品を作っている感覚になれて、楽しかったです。エールをもらいながら撮影ができるのは、地上波の連続ドラマのスケジュールならではだなと思います。

― 撮影が進むにつれて、脚本を読む視点や捉え方に変化はありましたか?

蒼井:「こんなこと言わない方が、観ている人はすっと受け入れられるよな」と思うことも、生方さんはあえてその言葉をチョイスされているので、最初はその言葉の強さを「どう落とし込もう」「なぜこの言葉を選んだのだろう」など、たくさん考えました。

本読みの段階では「こうしてみましょうか?」といろいろなディスカッションをしたのですが、やっぱり最終的には生方さんが書いたセリフに着地するんです。「これ以上はないな」と実感してからは、いかに台本に書かれた言葉に意味を持たせるか、どう濃淡をつけていくかの作業を大事にしました。すごく楽しかったです。ただナチュラルにやればいいということでもなく、生方さんのちょっとロックな部分を感じながら、演じていましたね。「雰囲気作るなよ、私」と思いながら(笑)。

― 咲子という人物の、譲れない根底にあるもの、価値観はどんなものだと思いますか?

蒼井:難しいですね…。“これだ”というものがなかった気がします。周りに流されやすくて、相手によって見せる面を変える癖があるので。でも、“充を信じる”“充のことが好き”という部分に関しては、強いものがあったと思います。はたから見たら「園田(樹生)さん(中島歩)の方が一緒にいて楽そうだよ」と思うだろうけど、咲子が好きなのは充。理由を聞かれたら「好きだから」としか説明しようがないのですが…。

◆蒼井優、信頼できる共演者&スタッフで作り上げた作品

― ここまでの撮影で、「大変だった」と感じるシーンはありましたか?

蒼井:第1話の最後で、園田さんに「あなたの夫、僕の妻と不倫してましたよ」と言われたコインランドリーでのシーンは、撮影が始まったばかりの頃に撮ったので大変でした。まだ役が回転し始める前ですし、咲子と園田さんも知り合ったばかり。役同士でノッキングを起こしているのか、俳優同士がノッキングを起こしているのか、そこの線引きが難しいタイミングでもあったので、あのシーンはみんなで意見を出し合って、一緒に乗り切った感じがあります。

何より監督が土井(裕泰)さんでよかったです。土井さんはセリフを整理してくださるのが本当にお上手で。「ここはこうしましょう」「咲子は今、こういう気持ちです」みたいな感じで、状況や役の心情を丁寧に分かりやすく説明してくださるんです。私たちが何かを思う前に監督はそのシーンについて考えていらっしゃるので、監督の中での答えが常にある。キャラクターにも寄り添ってくださいますし、冷静に判断してくださるので、いつも助けていただきました。すごく信頼しています。

◆蒼井優、松山ケンイチの想像を超えた芝居に驚き

― 心に残っている印象的なシーンを教えてください。

蒼井:たくさんありますが、第10話(最終話)で松山さんがテストではやっていなかったお芝居をされたときがあって。カットがかかった後、松山さん自身も「びっくりした!」とおっしゃっていましたけど、私もびっくりしました。何かをやろうとしていたわけではなく、充にかっちり入った状態で咲子と向き合って、自然とそうなったみたいで。そのシーンに限らずですが、想像していなかったお芝居を見られたときはすごくうれしいですね。一緒にやっていて楽しい人たちばかりだったので、「あのシーンのあの人の目の動き、こうだったな」など、いろいろなことが今も心に残っています。

― 撮影を通して、意外な一面が見えた共演者はどなたですか?

蒼井:皆さん素晴らしい方ですが、特に感動したのは、高橋(文哉)さんの現場に対する誠実さ。高橋さんって、スタジオのセットから出ないんです。いつ呼ばれてもすぐに自分の立ち位置に行けるところで待機されていて。しかもそれをさらっとできるのがすごいなと。私があの年齢のときには絶対にできていなかったし、できたとしても褒められたくて“やっている感”を出していたと思います(笑)。人としての出来が違うなと思いました。

◆蒼井優、10年に1本あるかどうか――そんな作品に出会えた

― 蒼井さんにとって、本作はどのような『色』を残す作品になりましたか?

蒼井:昔、先輩に「心から楽しめて、やってよかったと思える作品って、10年に1本あれば幸せなほうだよ」と言われたことがあったんです。「それ以外はやっぱり苦しいし、納得いかないこと、つらいことがいっぱいあるけど、10年に1本ぐらいはそういう作品に出会える。そうしたらまた次も頑張れるよ」って。私の中ではこの作品がその1本だと、心から思います。連続ドラマで主演することは大変ですし、やらなければ無傷で済むんですけど、やっていなかったらこの喜びを知らなかったかもしれない。オファーをいただいたときに「やってみよう」と決めて本当に良かったなと思います。

そんな自分以外に対しては、本当に感謝しかない作品ですが、自分に対しては反省点がたくさんあります。これだけの条件がそろった中でできなかったことが自分の中にはある。いつか、また18年後にでも(笑)、この雪辱は晴らしたいなと思います。本当にこんなにも幸せな環境の中で学べてよかったです。

― 最終話の見どころを含め、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

蒼井:最終話、皆さんが誰を応援したくなるのか、私たちには想像がつきません。第1話から観て、今頃プンプンされている方もいらっしゃるかもしれないですが(笑)、いろいろうまく生きられない私たちがどんな人生の選択をするのか、見守っていただけたらと思います。そして、松山さん演じる充の “ある表情”を観ていただきたいです。観ていただいたら「ここだな」とたぶんすぐ分かると思います。気づいていただけたらうれしいです。