【ワシントン時事】4日公表された8月の米雇用統計では、景気動向を占う手掛かりとなる非農業部門就業者数の伸びは予想の約3倍となった。労働市場の底堅さが示された。米イラン紛争によるエネルギー高や、人工知能(AI)ブームに伴う投資活発化を背景としたインフレ懸念がくすぶる中、連邦準備制度理事会(FRB)は15、16両日の金融政策会合で、11日発表の8月の消費者物価指数(CPI)などを見極め、利上げの是非を判断する。
8月の非農業部門就業者数は前月比16万2000人増と大幅に伸びた。失業率は4.1%で、前月と変わらず安定。エネルギー高など逆風が吹くものの、好調さはレジャー産業などにとどまらず「幅広い分野」(カナダ金融大手)に波及した。7月の就業者数も2万1000人増と、従来発表の2万3000人減からプラスに修正された。
ウォーシュFRB議長は8月末の講演で、雇用よりも「優先事項は物価(安定)だ」と明言。今後の金融引き締めを排除しない姿勢を打ち出したことで、金融市場ではFRBが今月の会合で利上げに踏み切るとの見方が広がった。
堅調な雇用統計を受け、市場ではいったん後退した利上げ観測が再び高まった。ただ、政策転換に踏み切るほど「労働市場は過熱していない」(エコノミスト)との指摘もある。利上げの可否は「主として8月の物価指標で決まる」(米金融大手)との向きが強まっている。
政策議論を主導するFRB高官の1人であるウォラー理事は物価動向に関し、「ついにインフレ鈍化の兆しがいくらか見えるようになった」と分析。この傾向が続いた場合、今月の会合で金利据え置きを支持する意向を明らかにした。一方、CPIなどでインフレ縮小が確認できなければ、「利上げを検討する」と表明した。