【カイロ時事】エジプトの首都カイロ郊外に8月下旬、同国初の有償資源ごみ回収機が設置された。空き缶や空き瓶を投入すると買い物などに利用可能なポイントがたまる仕組みで、街の美化につながると期待を集める。しかし、長年ごみ回収に従事し、分別した資源を換金し生活してきた少数派キリスト教徒からは反発の声が上がっている。
カイロ郊外ギザの大通り沿いに設置された回収機には、市民が連日、資源ごみを持ってくる。瓶を投入した無職サミーラ・アインさん(85)は「回収機が増えれば、道路にごみを投げ捨てる悪習がなくなるのではないか」と語った。景気が停滞する中、「ごみ」を生活費に変えられる点も支持を集めており、段ボールいっぱいのペットボトルを持ち込む人もいる。
エジプトでは1950年代ごろから、キリスト教の一派コプト教徒がごみの収集・処理を一手に引き受けてきた。ごみと共に回収した残飯で豚を飼育し肉を販売するサイクルが定着。豚が禁忌の多数派イスラム教徒は手を出せない独自の利権を手にした。
カイロ首都圏のごみ収集組合トップ、シャハータ・ムアッディス氏(65)は、街路清掃やごみの回収、資源選別で生活する人が「約100万人いる」と説明。回収機の設置に伴い、「路上や住宅から集められる資源ごみの量が目に見えて減った」と危機感を募らせる。
同氏は「先進国ではごみ収集で給料をもらうはずだ。われわれは給料も年金もなく働き、仕分けた資源を換金し生活してきた」と指摘。回収機設置を許可した環境省の当局者らと妥協案の協議を続けているが、納得できる回答は得られていないという。
〔写真説明〕ごみ回収機に瓶を投入するサミーラ・アインさん=8月31日、カイロ郊外ギザ
〔写真説明〕カイロ首都圏のごみ収集組合トップのシャハータ・ムアッディス氏=8月31日、カイロ