【北京時事】米イスラエルの対イラン軍事作戦開始から半年たった。中国の習近平政権はイランと友好関係にあるが、トランプ米政権を名指ししての非難は控えている。最優先課題である対米関係の安定化に向け、イラン問題が米中間の新たな火種にならないよう深入りを避けているのが現状だ。
「国際法に基づかない不法で一方的な制裁には断固反対する」。中国外務省の林剣副報道局長は25日の記者会見で、トランプ政権が24日に発表したイランと取引した国や企業に対する二次制裁の拡大に反発した。
中国は、米イスラエルによる作戦開始後も東南アジア経由でイラン産原油の輸入を続けてきた。湾岸諸国からのタンカーが通るホルムズ海峡の航行が制限される中、原油調達先を確保するとともにイランを経済的に支援する思惑がある。
トランプ政権の制裁拡大は中国に圧力をかけるのが狙いとされるが、習政権は「中国とイランの協力は国際法の枠組みの中で行われており、干渉や妨害を受けるべきではない」(林氏)との立場。中国の企業などが制裁対象になれば対抗する構えを示している。
ただ、習国家主席の9月の訪米を控え「イランを巡り対米関係が悪化するのは避けたいのが本音」(西側外交筋)とみられる。米国との貿易戦争が再燃すれば低迷する国内経済に打撃となりかねないため、5月の米中首脳会談で一致した「建設的戦略安定関係」の構築を優先する意向だ。
一方、米国がイランへの対応に追われる状況が続けば、アジア太平洋地域での米軍の存在感低下につながる可能性がある。習政権は台湾の武力統一も辞さない構えを崩しておらず、イラン情勢が同地域の軍事バランスに与える影響も注視しているもようだ。
〔写真説明〕中国の習近平国家主席=3月11日、北京(EPA時事)