木造住宅が密集する東京都北区の住宅街を貫く旧街道の街並みが、拡幅に向け大きく変わっています。ただ、事業期間を鑑みれば、そろそろ工事に着手してもおかしくはない頃。どのような状況なのでしょうか。
歩道もなかった駅前の道が…!
東京で「岩槻街道」とも呼ばれる旧街道筋の道路があります。久々に訪れると風景が一変。駅のすぐ近くを通るのに歩道もなく狭かった道路は片側の家並みが無くなり、拡幅のための用地がほぼ確保されているようでした。
調べてみると、この区間の拡幅は事業期間が2026年度~2027年度までとされており、もう工事が始まってもおかしくありません。
この道はJR京浜東北線 東十条駅(東京都北区)の西側を通る「補助83号線」です。江戸時代に岩槻街道とも呼ばれた「日光御成道」がルーツ。この付近では本郷台地の崖下をJR線が通っていますが、その崖上をいく南北道路です。さらにすぐ西には埼京線の十条駅があり、両駅の間を歩く人も少なくありません。
文京区本郷で中山道(国道17号)から分かれる旧岩槻街道は「本郷通り」の名で駒込駅前を経て、王子の飛鳥山で明治通りと合流し、すぐ分かれて台地上を北上します。ここまでは4車線の広い幹線道路です。しかし、この道が十条駅方面へカーブするところから分岐する線形となる旧岩槻街道は、2車線・幅10mで歩道も無い昔ながらの道でした。
この区間を環七通りに至るまでの1km強を拡幅するのが、「補助83号線 十条1期・2期」の事業です。起点側の1期区間640mは2009年度から始まり2026年度まで、環七までの2期区間410mは2014年度から始まり2027年度までとなっています。
さらに、環七通り以北の赤羽に至る「十条3期」485mについても、2026年から2037年度末までの予定で拡幅事業に着手したばかりです。
この事業は、車線数は2車線で変わらないものの、両側に自転車歩行者道を整備し、電線類を地中化します。木造住宅が立ち並ぶ狭い住宅街で避難路や救援路の確保、歩行者や自転車の安全性確保を主眼としています。
工事がイマイチ進んでいないように見えるワケ
2026年8月現在、十条1期・2期は見る限り全線で拡幅用地が確保されています。2工区に分かれているとはいえ、一括で開通させるのでしょうか。
東京都都市整備局の街路建設担当に聞いたところ、用地は「完全に100%ではないものの、99%は確保済みです」とのこと。すでに一部の工事は始まっており、本格的な築造工事については準備中だそうです。
ただ、1期・2期で段階的に工事が進められていく見込みだといいます。「現道の機能を確保しながらの工事になるので、その調整が難しいところ」だと話しました。
実は拡幅用地が確保されていても「旧来の道幅のまま」の設備があります。起点と中ほど、終点と3つ設けられた歩道橋です。これらを確実に撤去しなければ開通にこぎつけることはできない、といいます。
起点側の歩道橋は旧十条台小学校、中ほどの歩道橋は十条小学校(旧荒川小学校)、そして終点の歩道橋は環七通りの交差点に設けられたものです。いずれの歩道橋も現に小学生の通学などで使われているとのことですが、2つの小学校は統合・移転新築の真っ最中であり、そのスケジュールと道路の築造工事が連動しているといいます。
旧十条台小学校は2022年3月に閉校し、4月から旧荒川小学校と統合して十条小学校が発足。旧十条台小の校舎は建て替え工事が進められており、2029年9月に十条小の新校舎として開校する予定です。
もしこのスケジュールに合わせて歩道橋を残しながらの工事となると、事業期間は延伸の可能性がありますが、十条駅前の踏切を避けて環七通りに出られる旧岩槻街道は交通量も少なくありません。児童の安全を確保しながらの工事となりそうです。