原付二種以上のバイクユーザーの多くがまたがった教習用バイク。あの日、まだ運転がうまくできなかった自分を受け入れてくれた相棒たちを一挙紹介します。
教習用バイクならではの装備
「次は一本橋か」「坂道発進って苦手なんだよな」……原付二種以上のバイクユーザーの多くは、こんなことを言いながら教習所に通ったはず。その教習を共にしてくれたバイクは、何だったでしょうか。まだ運転がうまくできなかった自分を受け入れてくれた教習用バイクたちを一挙紹介します。
教習用バイク個々のモデル紹介に入る前に、まず一般モデルとどんな違いがあるかと、その傾向を紹介します。
教習用バイクの最もわかりやすい特徴は、フロント・リアに設置された複数のランプ類です。まるで酉の市の熊手のようにも見えますが、これは「そのバイクがギアの何速に入っているか」「適切な場面でブレーキを踏んでいるか」「速度は何キロか」などを示すものです。万が一の転倒でもボディ・エンジン・マフラーなどの損傷を抑えるために、大型のガード類も必須パーツとして装着されています。
モデルによって異なるものの、教習用バイクによくあるのが、ディスクブレーキのキャリパーが片持ちになっているものです。ガツンとした制動を求めるなら両持ちのほうが良いわけですが、技能教習の必須メニュー「急制動」の場面では、ガツンとするよりマイルドな効きの片持ちのほうが賢明ということで、この仕様になっていることが多いです。
圧倒的に多い【普通自動二輪】(400cc以下)の教習用バイクたち
ここからは本題の教習用バイクの各モデルを紹介します。事前に言ってしまうと、車種は圧倒的にホンダのバイクが多いです。ホンダ特有の安全性・耐久性はもちろんですが、他社に抜きん出て積極的に「教習車」をラインナップした結果だと思います。そのうち最も免許取得志願者が多い「普通自動二輪(400cc以下)」のモデルたちを見ていきましょう。
◆ホンダ CBX400FK(1981年)
市販モデルからパワーダウンさせた教習仕様車。全国の教習所に導入されたトルクフルなモデルです。
◆ホンダ VFR400K(1986年)
V型4気筒の市販モデル、VFR400Rからカウルを外した教習仕様車。市販モデルのレーシーな性能をマイルドにしています。
◆ホンダ CB400SUPER FOUR(2017年)
教習用バイクとして絶大な支持を得たCB400の2017年モデル。外装のグラフィックも1981年モデルを踏襲したまま、走行性、操作性など、扱いやすさの向上を試みたモデルです。
◆ホンダ NX400L(2024年)
市販モデル、NX400をベースにした教習仕様車。教習用バイクの基本装備を備えながら2次減速比を変更した他、サスペンションの長さやハンドル形状の変更を行い、教習用として扱いやすくされています。
レア? 400cc以下「ヤマハ」の教習用バイクたち
ここまでがホンダの「普通自動二輪取得免許(400cc以下のバイク免許)」用の教習用バイクですが、ライバル・ヤマハのモデルもあります。
◆ヤマハ XJ400L(1983年)
XJ400の教習仕様車。XJ400は「ペケジェイ」の愛称で暴走族に愛されましたが、教習仕様車としての実用性にも長けていました。
◆ヤマハ XJ400L(1993年)
ディバージョン400の教習仕様車。市販モデルのハーフカウルを廃し、教習用バイクの基本装備を備えつつフレーム補強を施した1台です。
◆ヤマハ MT-03(2020年)
排気量320ccのMT-03をベースにした教習仕様車。足つき性に優れ、軽量でもあることから小柄な免許取得志願者に人気を得ました。
【大型自動二輪】の教習用バイクたち
続いて排気量の制限のないバイク免許「大型自動二輪」の教習用バイクを見ていきましょう。
◆ホンダ VFR750K(1989年)
市販スポーツツアラー、VFR750Fからカウルを外してネイキッドにし、丸目1灯のヘッドライトにしたモデル。当時の道交法では400ccオーバーの大型自動二輪の免許取得は、試験場で「限定解除」のため、技能試験を必ず受ける必要がありました。教習所ではこのモデルで車格に慣れた後に本試験に挑む人が多くいました。
◆ホンダ CB750(2001年)
ホンダの矜持が込められたCB750をベースにした教習仕様車。低速走行が主体となるため、電動ファンと大型オイルクーラーを装備。
◆ホンダ NC750L(2022年)
VFR750Xをベースに、教習車としての特性を考慮したモデル。MT教習仕様の他に、AT教習仕様のモデルもありました。
原付二種【小型限定】の教習用バイクたち
続いて125cc以下のバイク免許である「普通自動二輪小型限定免許」の教習用バイクを見ていきましょう。
◆ホンダ CB125T(1989年)
「普通自動二輪小型限定」の教習用バイクとして、モデルチェンジを重ねながら長きにわたって採用された1989年モデルです。
◆ホンダ CB125F(2015年)
ヨーロッパ向けモデル、CB125Fをベースに、国内の二輪教習に適した特殊装備を付加したモデル。低速時でのネバり、コンパクトな車格が教習生に親しまれました。
【AT限定自動二輪】(小型・普通・大型)の教習用バイクたち
そして、「AT限定」の自動二輪の教習用バイクを見ていきましょう。AT限定は125ccまでの小型限定と、400ccまでの普通、400cc以上の大型にもあります。
◆ホンダ スペイシー125(2005年)
2005年6月から導入の「AT限定自動二輪制度」に伴い発売された、スペイシー125の教習仕様車。市販モデルはヘッドライトの常時点灯が備わっていましたが、教習仕様車ではバッテリー上がり防止、夜間教習の観点からヘッドライトのオン・オフ機能が備わっていました。
◆ホンダ シルバーウイング400(2005年)
こちらも2005年6月から導入の「AT限定自動二輪制度」に伴い発売された、シルバーウイング400の教習仕様車。市販モデル搭載の中低速トルクアップ機構やシガーソケットが廃されたモデル。
◆ホンダ・NC750L(2022年)
「AT限定・大型二輪免許」の「650cc以下」の限定が廃止され、ホンダから発売された750ccのAT仕様の教習車。ロードスポーツモデル、NC750Xをベースにしたモデルで、教習時に頻繁に使用する極低速域での操作性、低中速域での扱いやすさ・取り回しの良さに配慮した仕様です。
他にもある教習用バイクと「高めの中古相場」
ここまで教習用バイクを紹介しました。全国の教習所への導入数で言えば、圧倒的にホンダのモデルが多いわけですが、実はこの他にスズキ、カワサキの教習仕様車もあります。
いずれのモデルも、免許取得を目指して冷や汗をかきながらまたがった教習用バイクばかり。こういった思い入れから免許取得後に、「あえて教習用バイク」を求めるユーザーも一定数いて、中古車市場でもポツポツ個体を見かけます。
流通数の多い市販車に比べて、個体条件が似たものでも教習用バイクは高め傾向ですが、言い換えれば、「自分が運転を覚えたバイク」は特別な価値があると考える人がいるということでもありましょう。